【重要】雇用保険法の改正 雇用保険率の変更点について 【労働政策審議会雇用保険部会】

税金・社会保険・労働関係

本日は1月20日でわが国では「大寒」にあたるとされています。大寒とは文字通り1年で最も寒い日とされており、2月4日の立春にあたるまでの期間を指します。
私はこの記事を都内の某カフェで書いているのですが、新型コロナウイルス対策のため出入り口が開放されており指先の感覚が半分ない状態です。
しかし、どうやら寒くなりそうなのは身体だけではないようです。
今回は現在開かれている通常国会にて決定されるであろう雇用保険料の改正について解説していきたいと思います。みなさんのお財布にも多少影響が出るかもしれません。

指先が持つか不安ですが最後までどうぞお付き合いください。

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雇用保険率の引き上げ

2022年3月まで(現行)

一般の事業の場合、2022年1月現在、1,000分の9(0.9%)です。この内訳ですが、雇用保険料の負担は労働者と事業主の双方が負担する労使負担分と事業主のみが負担する2種類があることは以前このブログでもご説明しました。(参考
①失業等給付分(労使折半):1,000分の2(0.2%)
②育児休業給付分(労使折半):1,000分の4(0.4%)
③雇用保険二事業分(事業主のみ負担):1,000分の3(0.3%)
になっています。
つまり、労働者負担のみ考慮した場合、①+②×2分の1となり1,000分の3(0.3%)となっています。みなさんのお給料もそのように計算されて天引きされているはずです。気になる方は給与明細を見て計算してみてくださいね。例えば、ひと月のお給料が20万円であれば、20万円×0.3%=月600円が労働者負担となります。

①失業等給付分(労使折半)

2022年度においては、
①失業等給付分(労使折半):4月~9月までは1,000分の2(0.2%) →10月から1,000分の6(0.6%)
にするのが望ましいと雇用保険部会案では示されています。

ここでは割愛しますが、2016年の改正で失業等給付の保険料率は1,000分の8とする原則が誕生し、積立金の残高とそのときの雇用情勢によって料率を変更できる弾力条項に基づき1,000分の2とされてきました。この1,000の2の適用が2022年3月をもって終了となるため原則の1,000分の8に戻ることになります。
しかし、昨今の新型コロナウイルスの影響により、事業主及び労働者にこれ以上の経済的負担がかかることを防止するために激変緩和措置として4月ではなく10月からとする方針を定めています。そういえば、今夏に大事な政治的イベントがあったような気がしますが、イメージダウンを恐れてこの措置を講じているわけではないことを期待しています。

②育児休業給付分(労使折半)

結論から申し上げますと1,000分の4(0.4%)のまま据え置きの予定です。
②育児休業給付分(労使折半):4月からも1,000分の4(0.4%)

育児休業給付については雇用情勢の影響を受けにくいことが背景に挙げられます。かつては求職者給付等と同じ扱いでしたが、令和2年度以降、失業等給付とは別に率を決めるようになりました。

③雇用保険二事業分(事業主のみ負担)

こちらは1,000分の3.5(0.35%)に変更することが望ましいとされています。
雇用保険二事業は原則1,000分の3.5(0.35%)とされているところ、2021年度までは弾力条項により1,000分の3(0.3%)とされていました。しかし、弾力倍率が弾力条項に基づく引き下げ可能水準を下回ったため原則通りに戻すこととなります。
③雇用保険二事業分(事業主のみ負担):1,000分の3(0.3%)→4月から1,000分の3.5(0.35%)

雇用保険二事業は雇用安定事業と能力開発事業の2つを指すものでした。雇用安定事業とは具体的に何をしているか覚えているでしょうか?
はい、助成金等の支給決定でしたね。新型コロナウイルスの影響で当たり前のように耳にするようになった雇用調整助成金も当然雇用安定事業の範疇にあります。厚生労働省は昨年の12月13日に、雇用調整助成金の支給決定額が2020年春からの累計で5兆462億円になったと明らかにしています。現在、オミクロン株の影響もあり、沈静化には時間がかかることを踏まえるとおそらく今年度末までには6兆円か超えてくるでしょう。このような状況では雇用保険二事業に対する保険料負担は仕方のないことではあります。

まとめ

今回は雇用保険料の改正について触れてきましたが、狭義の社会保険(健康保険料及び厚生年金保険料)と比べると負担率は少ないのでそこまで注目をされないかもしれないですが、上記の月収20万円の方の例の場合、600円の負担増なわけですから私にとっては結構大きな改正だと思うのですがみなさまはいかがでしょうか。

ネット上ではオミクロン株は風邪のようなもので大したことはないとか、デルタ株ほどの脅威はないとか、第6波の到来だとかいろいろな情報が飛び交っていますね。いずれにせよ冒頭にも申し上げましたが今日から大寒に入ります。体調管理にはくれぐれも気を付けてください。特に受験生はホントにキツイ時期だと思いますが何とかベストを尽くしてがんばって欲しいです。

それでは本日もご覧いただきましてありがとうございました。

※雇用保険率について更新しました。

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