【雇用保険法】令和4年度厚生労働省概算要求のポイントと助成金の仕組み

税金・社会保険・労働関係

こんばんは、群れを嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌い、専門のライセンスと叩き上げのスキルだけが武器のkanariyaです。嘘です。むしろ対極にいる「ひよっこ青二才」だと自覚しております。

さて、今回は、令和4年度厚生労働省予算の概算要求についてその中身とポイントを見ていきたいと思います。

詳細はこちらをご覧ください。やはり、雇用調整助成金の支給額が令和3年10月までの累積で4.5兆円を超えました。直近では1週間当たり500億円から600億円のペースで増え続けており、次年度も雇用調整助成金等による雇用の維持が厚生労働省の中の雇用対策事業として中心となっているようです。(要求額は33.9兆円と過去最高だそうです。)

ところで、みなさんは雇用調整助成金の財源はどこからどうやって捻出されているかわかりますか?

雇用保険法では、雇用保険事業として大きく分けて、

  • 失業等給付
  • 雇用保険二事業

に分類されています。

前者はさらに求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付に分類され、さらに求職者給付も分類されるのですが、今回はテーマとは直接関係ないため割愛します。

それで、今回取り扱うのは後者の雇用保険二事業になります。こちらは前者と比較してシンプルで雇用安定事業(雇用調整助成金や両立支援助成金などはこっち)と能力開発事業の二つに分類され、能力開発事業はさらに就職支援法事業とそれ以外の事業に分かれます。就職支援法事業はさらに職業訓練受講給付金とその他の事業に分かれます。

このあたりの分類がヒジョーにめんどくさいのが雇用保険法の特徴でもあります。機会があれば雇用保険法の分類や仕組みなどを簡単に理解できる記事も作成しようかなと思っています。

さて、話を財源に戻しますが、なぜ敢えてここまで分類化そ説明をしたかというと、事業主、被保険者、国庫負担の割合がそれぞれ異なるからです。

そもそも雇用保険ってどのように徴収されているかはご存じでしょうか?

会社で給与計算などを担当されている方なら無意識に行っていることかとは思いますが、健康保険料と厚生年金保険料と同様、毎月のお給料から天引きという形で源泉徴収がされています。

例えば一般の企業であれば1,000分の9となっており、そのうち①被保険者負担が1,000分の3、 残りの1,000分の6が事業主の負担となっており、うち②失業等給付、育児休業等の給付が1,000分の3、③雇用保険二事業の保険料が1,000分の3として割り当てられています。狭義の社会保険(健康保険料・厚生年金保険料)と違い、きれいに折半負担でないのが雇用保険料の特徴でもあります。

ちなみにこれも雇用保険料率の特徴なのですが、業種によって異なっており、農林水産・清酒製造業(ただし、園芸サービス、牛馬の育成、酪農、養鶏、養豚、内水面養殖および特定の船員を雇用する
事業については一般の事業の率が適用される。)は 1,000分の11(うち①被保険者負担が1,000分の4、 ②失業等給付、育児休業等の給付が1,000分の3、 ③雇用保険二事業の保険料が1,000分の3として割り当てられています)。

また、建設の事業は 1,000分の12で、(うち①被保険者負担が1,000分の4、 ②失業等給付、育児休業等の給付が1,000分の4、 ③雇用保険二事業の保険料が1,000分の4として割り当てられています)。

つまり、雇用安定事業、能力開発事業及び就職支援法事業の一部は事業主の負担で成り立っているのです。(一般の事業であれば、就職支援法事業の負担割合は被保険者、事業主ともに1,000分の3)。国庫負担は原則ありません。

しかし、昨今の主たる財源であった雇用保険の資金はすでに枯渇している状況にあります。(先ほど紹介しましたが1週間当たり500億円から600億円のペース だとそうなりますよね・・・)

現在は雇用保険二事業は保険料収入のほか、雇用保険本体の積立金からの借り入れや国庫(一般会計)から繰り入れでなんとか賄っているのが現状ですが、労働政策審議会では労使とも国庫による保険料負担を強く求めており、雇用保険料率の引き上げには強く反対しています。雇用安定事業は被保険者、被保険者であった者及び被保険者になろうとする者に関し、失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の拡大を目的としています。(雇用保険法第62条1項)

つまり、失業してしまった方だけでなく失業しないようになんとかしましょうねというのがメインですから、事業主負担の保険料や国庫による財政補助だけではいずれ破綻してしまう危険性が常に起こりうることは、事業主の方も、現在就労されている方もみなさまも、今の現状を少しでもご認識していただけたらなと思います。このご治世ですと労働保険のあり方について抜本的な見直しを行うべきではないかとの声も上がり続けています。雇用保険の引き上げについてはこの記事で少し触れたのでもしよろしければご覧ください。

今回は財源の説明に雇用保険の仕組みについて触れてしまったので少しわかりにくい記事になってしまいましたが、これからはもう少し簡潔にできるように頑張ります。今年のクリスマスのプレゼントは専門のライセンスと叩き上げのスキルをサンタさんにお願いしようかと思っている次第です^^;

一般の企業で人事労務関係に配属されている皆さんはもちろん、社会保険労務士等の人事労務資格を受験される方にとって参考になる情報を少しでも発信できたらなと思っています。

社会保険や税金等は世の中に情勢に影響を受けやすいので法改正が行われやすい分野でもあります。なるべく常にアンテナは張っておりますので、これからもお時間のあるときにでもご覧いただけたらと思います。

それでは、今回も最後までご覧いただきましてありがとうございました。

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