【紙とはさようなら?】 電子帳簿保存法の改正についてポイント3選(後編)

税金・社会保険・労働関係

こんばんは、kanariyaです。

今回は前回の電子帳簿保存法の後編となります。前回の続きとなりますので先にこちらをご覧ください。

それでは早速説明を始めていきたいと思います。

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改正ポイント② 電子取引における電子データ保存の義務化

改正前は、所得税や法人税に関するデータの保存は、データを出力して紙媒体で保存することも認められていました。しかし、改正後はすべての企業に対し、データで受け取った書類、いわゆる電子取引書類の出力保存は不可となります。
電子取引とは電子的に授受した取引情報をデータ化状態で保存する義務があり、EDI取引、インターネット取引、クラウド取引、電子メール取引などはもちろん、請求書等をメールで添付ファイルにて送付する場合や、クレジットカードの利用明細履歴、交通系ICカードの利用履歴、WEB請求書発行システムを利用している場合も含まれます。
保存要件に関しても、真実性の確保と可視性の確保が求められており、訂正や削除の防止に関する事務処理規程を定め、その規程に沿った運用方法を行うことが現実的と言えます。今後は社内ルール等を徹底していくことが求められます。電子取引の授受方法はさまざまなケースが想定されますので、保存する際に一定の場所に適切に保管・管理することが望ましいと言えます。

改正ポイント③ 罰則規定の改正

ここまでメリットとなる部分を重点的に紹介しましたが、デメリットになり得るものも紹介しておきます。
具体的には、スキャナ保存に関して所轄税務署長への事前承認制の廃止が認められる代わりに、要件を緩和したのにも関わらず対応していない企業への罰則規定が厳罰化となりました。
隠蔽や改ざん、偽装などの悪用、などの不正行為が発覚した場合には通常の重加算税の核に加え、さらに申告漏れの場合、申告漏れのに対する額の10%相当の追徴課税がなされます。また、前述した書類での保存を継続することにより、青色申告の取り消しや、連結承認の取り消しの可能性もあります。現在恩恵を受けている制度が利用できなくなってしまうのでくれぐれも注意しましょう。

注意点

電子帳簿保存法のスキャン方法について念のため注意点を少しだけ述べておきます。

スキャンする際はフルカラー

資金や物の流れに直結しない見積書、検収書、注文書のような一般書類はグレースケール(白黒)でもよいとされているのに対し、資金や物の流れに直結する契約書、納品書、領収書などの重要書類はカラーでの保管が求められます。
一般の複合機やスキャナーであれば初期設定でカラーになっていることが多いと思いますが、初めのうちはスキャンした後、カラーで保存されているか確認する習慣を身に着けておくといいでしょう。

書類の量により一度で完結しない場合は複数回スキャンが可能

契約書や請求書等が複数のページに跨っている場合、連続スキャンが認められています。ここで一点注意があり、書類の原本のサイズを変更したコピーをスキャンすることは認められていません。
業務用の複合機であればソーターを使って連続スキャンをし一つのファイルとして保存しておくのが望ましいと言えます。私みたいに家庭用の複合機しかない場合は、時間はかかりますが連続スキャンをするか、スキャン後にファイルを結合するなどの対策が必要になります。

終わりに

今回の改正で5回目となる電子帳簿保存法ですが、中でも今回の改正が一番改正項目が多く、事業主にとってメリットになるものが多くなっているという印象です。
まず、社内のペーパーレス化や電子化が推進されることで、業務効率が格段に上がることが予想されます。職場内にある対象の書類がデータ化されることでより管理しやすくなりますし、セキュリティ対策をきちんとしていればテレワークの推進にもつながります。
また、紙媒体だと郵送等の費用がかかり、郵便局や郵便ポストまで出向かなければならなかったのが今回の改正により郵送作業の削減が予想されます。これにより、バックオフィスの業務がより一層効率化がされることが期待されます。郵送の場合、問い合わせが来た時に備えて送ったものをコピーなりスキャンなりして保管する手間があり何かと時間を取られがちなんですよね。
コロナ禍において、在宅勤務が増える中、ペーパーレス化や電子化をためらっていた企業もこれを機に是非社内の記録の保存について検討してほしいと思います。今回の改正は経理事務や税務職員、税理士の方にとって追い風となるでしょう。

私も普段からなるべくデータでの保存を心がけていましたが、どうしても量の多いものは紙での保管になっているものもありました。家庭用のプリンターを使用しているため、スキャンに時間がかかるのが大きな理由ですが、まとまった時間を取って、作業スペースを確保して効率よく仕事ができる環境づくりをしていきたいと思います。

それでは、本日もご覧いただきましてありがとうございました。

参考:国税庁ホームページ

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