【働き方改革】テレワーク環境下における課題(基礎編)

働き方改革

昨今の新型コロナウイルスの影響でテレワークを導入する企業、テレワークに関心を持つ企業が増えてきています。

しかし、導入したいけれど職務上難しい、労働者の立場からするとテレワークをしたいと思っているけれど会社は関心がない。あるいは経営者層は導入したいけれど労働者側の都合上なかなか踏み切れない。テレワークの導入にはさまざまなハードルがあるものです。

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テレワーク運用に関する課題

令和3年厚生労働省の調査による「労働経済の分析」という統計によると、テレワークの運用・実施状況別にみた企業の課題をあげています。

その中で特出して高いのは、①出社時と比べて職場の人とのコミュニケーションが取りづらい②業務の性質上テレワーク可能な業務を切り出すことが難しい③個人の業務の進捗や達成度の把握が難しい、④社員がテレワークするための環境整備が難しい(使用PCの台数確保やテレワーク回線、セキュリティの問題等)となっています。

実際に働いている労働者からの意見として、自宅が仕事環境に適していない、家だと仕事に集中できずの作業効率が落ちる、出社している人の負担が増えるといった環境面を指摘する方もいれば、チャットやメールだと用件以外を伝えにくい、対面で話ができずに孤独に感じるといったコミュニケーション面、歩く機会が減って体重が増えた、相談ができずに抱え込んでしまう、休憩時間がずれ込むことが多いといった健康面を危惧する声が挙がっています。

では具体的にテレワークが直面している課題について細かく見ていきたいと思います。

コミュニケーション【コミュニケーション面】

テレワークをするにあたって真っ先に思い浮かび、解決が困難なことがやはりコミュニケーションではないでしょうか。

そもそも通常出社していても課題として取り上げられることが多い項目ですし、人間関係の悩みのタネはほぼこれ言っても過言ではないと思います。

解決策の一例

・定期的なオンラインミーティングを設ける
・雑談の機会を設ける
・上司と部下の業務内容の把握
・管理職や人事部と若手社員で1on1ミーティングを行う
・オンラインイベント、飲み会の開催
・出社日をあらかじめ決めておく

若手社員や入社したばかりの社員は業務でわからないことがあるとすぐに聞くことができずに困惑するケースがあります。そうなった場合にはすぐにフォローできる環境をあらかじめ整備しておく必要があります。
また、定例会議とまではいかないまでも、オープンな雰囲気のオンラインミーティングの開催が有効です。週1回、毎週水曜日など事前に定めておく方が参加する側も議題や悩み事を準備することができ、円滑に進めることができます。

人事評価【環境面】

これは管理職側も労働者側も気にするポイントの一つでもあります。
管理職側からすれば部下を最終結果でしか判断できず勤務態度が不透明だということ、労働者側からすると結果を出すまで苦戦する業務を抱えている場合、その過程も見てほしいといった不満や欲求も少なからずあります。

解決策の一例

・目標の明確化
・上司と部下のコミュニケーションの強化
・定期的な進捗確認
・タスク管理システムの導入

まず目標がきちんと設定されていることが前提です。例えば会社としての目標、部署としての目標、課としての目標、個人としての目標など。
また、これはテレワーク以前の問題ではあるのですが、上司が今部下が何の仕事をしているか把握していない、労働者自身が今何のためにこの仕事をしているのか理解していないケースがよく見受けられます。教育システムが成り立っていない、正規社員と非正規社員が混在している部署で多く見られる光景です。
このような場合には、この後すぐ触れますが、勤怠管理やタスクを管理できるシステムが非常に有効です。メールやチャットなどを使わなくても今どの社員が何をしているかすぐにわかる優れもの。
出社している場合も各労働者今何の業務をしているのか上司はもちろん、部下同士(横の関係)であっても把握しておくのが当たり前という感覚で業務に従事するべきです。

労働時間管理、休憩、時間外労働(休日労働)【環境面、健康面】

労働時間の管理はテレワークでなくてもルーズな現場が多いように見受けられます。出社時間前に仕事をして出社時刻になったらタイムカードを打刻する、または退勤打刻をしてから当たり前のように仕事をする。意外と多いですよ。

解決策の一例

・勤怠管理システムの導入
・事前申告制の徹底化
・一斉休憩の適用除外の労使協定を締結する

ここでは上記の人事評価でも挙げた勤怠管理システムとの親和性が高いです。タスク管理だけでなく、勤怠状況すべてを一元化しているシステムもあります。初期費用や導入コストを考えるとなかなかすぐに導入はできないかもしれませんが、今ではいろんなサービスがありますのでうまく活用していただきたいと思います。
また、時間外労働や休日労働をする場合はその理由とおおよその時間数を事前に上司や管理職に伝えましょう。出社していると何故かいつまでも社内にいる人とはたまにいらっしゃいますよね。テレワークで許可制を導入することでその理由が判明でき、ムダな残業や過重労働を防止することができます。
また、休憩中の場合は何時から何時まで休憩中ですとお知らせする習慣を身に付けるのも重要です。休憩中の場合は連絡しないなど社員をリフレッシュさせることも労務管理上大切なことです。

テレワーク環境と健康管理【環境面、健康面】

テレワーク環境になってから、肩こり、腰痛、視力の低下、体重の増加など体の不調を訴える人も増えていると聞きます。個々人の日頃の生活習慣によるところもあるのですが、この気持ちはよくわかります。これは会社側から解決策をアプローチしていましょう。

解決策の一例

・労働者へ定期的に健康についての報告を求める
・適切な作業環境の周知
・交代制の出社制度
・休憩時間以外のリラックスタイムを設ける
(従業員が常時50人以上の会社)
・産業医による健康アドバイス
・衛生委員会で議題にあがった内容の周知の徹底

厚生労働省のホームページを覗くと、テレワークの適切な導入及び実施の推進ガイドラインが示されています。ガイドラインの概要や、会社としてどのような対策を講じればよいかが載っています。
事業者用にテレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト、労働者用に自宅等にいてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリストなども用意されていますので是非一度ご覧ください。(下記URL参照)
臨検の際に適切な健康管理の実施状況を報告するよう監督署から求められるケースも増えているようなので管理職の方は健康状態の把握には今以上に力を入れてください。
ある程度の規模の会社であれば、産業医が選任されていたりや衛生委員会が設置されているはずなので、こちらもうまく活用してください。特に産業医は複数の会社を掛け持ちしている場合が多いので、他社ではどのような症状が多くどのようにアドバイスをしているのかが聞くのもいいと思います。
小規模の会社ではコミュニケーションの項目でも挙げた定期的に出社する仕組みを採る、休憩時間以外での小休止制度を取り入れるのも効果的かもしれません。
人間の集中できる時間というのはどんなに長くても90分が限度とも言われています。ストレッチやラジオ体操、瞑想などをみなさんでやってみてもいいかもしれません。

その他の課題

テレワークが原因で発生した課題もあれば、テレワークをすることによって出社時から問題とされていたことが明るみになった場合もあるでしょう。また、今回取り上げた以外にも多くの課題が山積しているのも事実です。

テレワークで課題が浮き彫りになった会社で多いのがコミュニケーション不足だそうです。コミュニケーションはあらゆる問題の根底にあるものです。離れたところにいる人とコミュニケーションをとるということは真正面で会話するより格段に難易度があがります。表情や声のトーンなどもいつも以上に敏感に感じとる必要があります。健康状況を同時に把握したいという狙いから可能な限りマスクは外して顔色を窺いたいという管理職の人もいるようです。

少し余談ですが、オンライン会議を実施する上で「相手の顔が見えない」という困ったことが起きた会社があります。これは文字通り顔が見えないということらしく画面をオンにすれば解決できそうなことですが、スッピンだから顔出しNGとか私服(部屋着)だから嫌だという意見だったようです。
これはテレワーク以前の問題で、身だしなみというのは相手に対するマナーの一環だと思っています。いくら在宅とはいえテレ「ワーク」ですから最低限のルールは守ってみんなが気持ちよく働けるようにしていきましょう。

出典:テレワークの定着に向けた課題(労働経済の分析)
  :テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン

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