テキスト不要【FP3級】第3章.金融資産運用

FP

お金というものはただ働いて得るということだけではありません。
せっかく汗水流して働いて得たお金はただ貯めるだけではなく、賢く増やすことができれば老後の経済的不安も少しは解消されるでしょう。

そのために、預金、株式、債券、投資信託などの金融商品に対する知識は必須ともいえます。この章はFP試験の分野の中では比較的内容が濃く、細かい論点が出題されることがあるので、まずは過去問をしっかり押さえるようにしましょう。

注意

※合格に必要なところだけをピックアップ。とにかく試験に合格したい方向け。(主に学科対策。)
※2021年10月1日時点の法令を根拠とする。

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          1. 注意
  1. マーケット環境の理解(重要度★★★★★)
    1. 代表的な景気・経済指数
      1. GDP (Gross Domestic Product)
        1. GDPデフレーター
        2. 経済成長率
      2. 景気動向指数
      3. 日銀短観(企業業績DI)
      4. マネーストック統計
      5. 物価指数+α
        1. 企業物価指数
        2. 消費者物価指数
        3. 消費動向調査
        4. 機械受注統計調査
        5. 家計調査
        6. 景気ウォッチャー調査
    2. 金融商品、為替、金利などの一般的な相互関係
      1. 名目金利と実質金利
        1. 名目金利
        2. 実質金利
    3. 金融政策
      1. 基準割引率と基準貸付け率(旧公定歩合)の変更
      2. 預金準備率操作
      3. 政策金利操作
      4. 公開市場操作
        1. 売りオペレーション
        2. 買いオペレーション
      5. マネタリーベース
      6. 短期金融市場
        1. インターバンク市場
          1. コール市場
          2. 手形市場(手形売買市場)
        2. オープン市場
    4. 金融商品の投資について
      1. 流動性
      2. 安全性
      3. 収益性
  2. 預金等の金融商品(重要度★★★☆☆)
    1. 預金等の金融商品の特徴
      1. 銀行で取り扱う代表的な預金の種類
      2. 外貨建て金融商品
        1. 外貨預金
          1. 具体例
        2. 為替レート
          1. TTS (Telegraphic Transfer Selling rate)
          2. TTB (Telegraphic Transfer Buying rate)
        3. 外貨建てMMF (Money Market Fund)
        4. 金の取引
    2. 金融商品の単利と複利の計算のしかた
      1. 単利
      2. 複利
  3. 債券投資(重要度★★★★★)
    1. 債券の特徴
      1. 債権の分類
        1. 利払い方法による分類
          1. 利付債
          2. 割引債
        2. 通貨による分類
      2. 債券のリスク
        1. 信用リスク
        2. 価格変動リスク
        3. 流動性リスク
      3. 債券発行時
        1. 表面利率
        2. 発行価格
    2. 国債
      1. 個人向け国債
    3. 債券の利回り
      1. 応募者利回り
      2. 所有期間利回り
      3. 最終利回り
    4. その他
  4. 株式投資(重要度★★★★★)
    1. 株式の特徴
    2. 株式投資の投資指標
      1. PER (Price Earnings Ratio):株価収益率
      2. PBR (Price Book value Ratio): 株価純資産倍率
      3. ROE (Return On Equity): 自己資本利益率
      4. 配当利回り
      5. 配当性向
    3. 株式投資の基礎知識
      1. 優先株式
      2. 売買のルール
        1. 指値注文と成行注文
          1. 指値注文
          2. 成行注文
          3. 逆指値注文
        2. 価格優先の原則
        3. 時間優先の原則
        4. 成行注文優先の原則
      3. 相場指標
      4. 株式累積投資と株式ミニ投資
      5. 株式の受渡し
      6. 株式分割
      7. 値幅制限
      8. 自社株買い
  5. 投資信託(重要度★★★★☆)
    1. 投資信託の運営を担う3つの機関
    2. 投資信託の分類
      1. 株式投資信託と公社債投資信託
      2. 単位型と追加型
      3. 契約型と会社型
      4. アクティブ運用とパッシブ運用
        1. アクティブ運用
          1. トップダウン・アプローチ
          2. ボトムアップ・アプローチ
          3. マーケット・ニュートラル
        2. パッシブ運用
      5. バリュー型とグロース型
      6. ブル型とベア型
    3. 投資信託の基準価額
      1. 投資信託の評価方法
        1. 定量評価
        2. 定性評価
    4. 超過リターン
    5. 投資信託を購入・保有する場合の注意事項
      1. 投資信託の3つのコスト
        1. 信託報酬(運用管理費用)の支払い
      2. 情報公開資料(ディスクロージャー)
    6. 公社債投資信託と上場投資信託の主な商品
      1. 公社債投資信託の主な商品
      2. 上場投資信託の主な商品
        1. ETF (Exchange Traded Funds):指数連動型上場投資信託
        2. J-REIT (Japan Real Estate Investment Trust:(不動産投資信託)
  6. ポートフォリオ運用と金融派生商品(重要度★★★☆☆)
    1. ポートフォリオ運用の基礎知識
      1. 分散投資(アセットアロケーション)
      2. 期待収益率と標準偏差
      3. 相関係数
    2. 金融派生商品(デリバティブ)
      1. 先物取引
      2. オプション取引
      3. スワップ取引
  7. 金融商品の税金(重要度★★★☆☆)
    1. 各金融商品の税金
      1. 預貯金
      2. 債券
        1. 利子所得
        2. 償還差益・譲渡益
      3. 外貨預金
        1. 利息
        2. 為替差益
      4. 株式
        1. 配当
        2. 譲渡益
        3. 特定口座
      5. 投資信託
        1. 追加型投資信託
          1. 普通分配金
          2. 元本払戻金(特別分配金)
          3. 譲渡益
        2. 公社債投資信託
          1. 譲渡益
    2. NISA(少額投資非課税制度)
      1. 一般NISA
      2. つみたてNISA
        1. 注意点
  8. 金融取引に関する法律(重要度★★★☆☆)
    1. 金融商品取引法
    2. 金融商品販売法
      1. 虚偽の説明
      2. 断定的判断の提供
      3. 不招請勧誘
      4. 再勧誘
    3. 消費者契約法
    4. 金融ADR (Alternative Dispute Resolution)
  9. セーフティネット(重要度★★★☆☆)
    1. 預金保険制度
      1. 保護の対象範囲
      2. 保護の対象額
    2. その他の保護制度
      1. 保険契約者保護機構
      2. 日本投資者保護基金
  10. この章の復習
    1. 問題
    2. 問題
    3. 問題
    4. 問題
    5. 問題
    6. 問題
    7. 問題
    8. 問題
          1. 参考

マーケット環境の理解(重要度★★★★★)

代表的な景気・経済指数

GDP (Gross Domestic Product)

国内総生産。一定期間内に国内の経済活動によって生み出された付加価値の総額。民間最終支出が最も大きな割合を占める。(全体の約6割)

GDPには、単純に合計した「名目GDP」と物価変動の影響を取り除いた「実質GDP」がある。

GDPデフレーター

物価変動の度合いを表す指数で、名目GDPから実質GDPを算出する際に用いられる。

GDPデフレーター=名目GDP/実質GDP

経済成長率

ある一定の期間において、当該国における国民の経済の規模が拡大する速度のことを表す。

経済成長率=今期のGDP-前期のGDP/前期のGDP×100

景気動向指数

生産や雇用に関する28種類の指標を総合的な景気状況の判断を行う指数。内閣府が毎月発表。
採用について新規求人倍率(景気の先行指標)、有効求人倍率(景気の一致指標)、完全失業率(景気の遅行指標)がある。

コンポジット・インデックス(CI):景気変動の大きさやテンポを測る。CI一致指数が上昇しているときは景気の拡張局面、反対に低下しているときは後退局面となる。
ディフュージョン・インデックス(DI):景気の波及度を測る。景気の拡張局面では50%を上回り、後退局面では下回る傾向にある。

日銀短観(企業業績DI)

主要企業を対象に、景気動向に関する調査を行って集計したもの。日本銀行が年4回(3月、6月、9月、12月)発表。

マネーストック統計

個人、法人(金融機関は除く)、地方公共団体(中央政府は除く)が保有する通貨量の残高。日本銀行が毎月公表。

M1:現金通貨+全預金取扱期間に預けられた預金
M2:現金通貨+国内銀行(ゆうちょ銀行を除く)等の預金
M3:M1+準通貨(定期預金等)+CD(Certificate of Deposit)(譲渡性預金)
広義流動性:M3+金銭の信託+投資信託+金融債等

物価指数+α

企業物価指数

企業間の取引及び貿易取引における商品の価格変動を時系列で捉えたもの。日本銀行が発表している。

消費者物価指数

全国の世帯が購入する家計に係る財およびサービスの価格変動を時系列で捉えたもの。総務省が発表している。

消費動向調査

今後の暮らし向きの見通しなどについて消費者の意識や、主要耐久財等の保有状況について調査しまとめたもの。内閣府が毎月発表している。

機械受注統計調査

設備用機械類の受注の状況を集計したもので、内閣府が毎月公表している。設備投資の動向を早期に把握することで経済動向分析の基礎資料を得ることができる。

家計調査

一般世帯の収入・支出と貯蓄・負債などを調査し、その結果は家計支出編と貯蓄・負債編に分けて公表されている。総務省が毎月公表している。

景気ウォッチャー調査

地域の景気に関連の深い動きを観察できる立場にある人々の協力を得て、地域ごとの景気動向を的確かつ迅速に把握し、景気動向判断の基礎資料とすることを目的とし、「街角景気」ともいわれている。内閣府が毎月公表している。

経済指数や調査は発表元まで覚えましょう。

用語・指数内容発表元
景気動向指数生産や雇用に関する28種類の指標を総合的な景気状況の判断を行う指数。
景気の先行系列の計算の用いられる。
内閣府
消費者物価指数全国の世帯が購入する家計に係る財およびサービスの価格変動を時系列で捉えたもの。
景気の遅行系列として表れる。
総務省
消費動向調査今後の暮らし向きの見通しなどについて消費者の意識や、主要耐久財等の保有状況について調査しまとめたもの。内閣府
企業物価指数企業間の取引及び貿易取引における商品の価格変動を時系列で捉えたもの。日本銀行
さまざまな統計指数

金融商品、為替、金利などの一般的な相互関係

景気と金利景気生活活動資産需要金利
好景気活発増加上昇
不景気停滞減少下落
景気と金利
物価と金利国内物価インフレ/デフレ資金需要金利
上昇インフレ懸念増加上昇
下落デフレ懸念減少下落
物価と金利
為替と金利為替輸入価格国内物価金利
円安上昇上昇上昇
円高下落下落下落
為替と金利

名目金利と実質金利

名目金利

通常の金利(預貯金等の金利)のこと。

実質金利

名目金利からインフレ率(物価上昇率)を差し引いた数値。
実質金利=名目金利-インフレ率

※通常は実質金利名目金利だが、デフレ期は実質金利名目金利となる。(物価が下落してインフレ率がマイナスとなるため。)

金融政策

物価の安定と金融システムの安定を図る目的で日本銀が行う経済政策を指す。

基準割引率と基準貸付け率(旧公定歩合)の変更

日本銀行が民間金融機関に貸し出す金利を操作すること。

預金準備率操作

民間金融機関は預金等の一定比率以上を日本銀行に無利息で預け入れるように義務付けられているが、この比率(支払準備率)を操作すること。

政策金利操作

日本銀行が操作する対象となる様々な金利を調整すること。

公開市場操作

売りオペレーション

日本銀行が金融機関へ債券などを売却して市中の資金量を減少させること。

買いオペレーション

日本銀行が金融機関へ債券などを購入して市中の資金量を増加させること。

基準貸付利率の変更景気の現状政策行為効果金利
好景気基準貸付利率などを上げる金融引締め上昇
不景気基準貸付利率などを下げる金融緩和下落
基準貸付利率の変更
預金準備率の操作景気の現状政策行為効果金利
好景気預金準備率を上げる金融引締め上昇
不景気預金準備率を下げる金融緩和下落
預金準備率の操作
公開市場操作景気の現状政策行為効果金利
好景気売りオペレーション金融引締め上昇
不景気買いオペレーション金融緩和下落
公開市場操作

金融引締め政策は株価の下落要因となる。(金利が上昇し株式を売却する傾向になるから。)

マネタリーベース

日本銀行が世の中に直接的に供給するお金のこと。これを増加させると金融緩和の効果がある。

短期金融市場

満期までの期間が1年以内の短期資金を調達・運用する市場の総称。

インターバンク市場

金融機関のみ参加する市場。コール市場(1ヵ月未満の短期資金)や手形市場などがある。

コール市場

短期の資金の貸し借りの市場のこと。代表的なものが「無担保コール翌日物」で無担保で資金を借りて翌日に返済する取引。

手形市場(手形売買市場)

主に商業手形や銀行引受手形などの取引が行われている市場のこと。

オープン市場

金融機関以外の一般事業法人も参加ができる。社債や国債等を取引する市場のこと。債券現先市場、レボ市場、CD(譲渡性預金)市場、CP(コマーシャルペーパー)市場などがある。

金融商品の投資について

流動性

いつでも簡単に現金化が可能かどうか。

安全性

元本割れなどのリスクがどのくらい小さいか。

収益性

より高い収益が期待できるか。

市場に流通している株式数や売買高が少ない銘柄は売りたいときに買い手が不在で売れないリスクが高いため、流動性のリスクは高いと言える。これらの3つの性質がすべて揃っていることはない。

預金等の金融商品(重要度★★★☆☆)

預金等の金融商品の特徴

銀行で取り扱う代表的な預金の種類

種類金利特徴
普通預金変動いつでも出し入れができる預金。
決済用預金
(無利息普通預金)
無利息「無利息」、「要求払い」、「決済サービスを提供できる」ことの3要件を満たす預金で、預入れ先の金融機関が破綻しても全額が保護される。(後述)
総合口座変動普通預金に定期預金や公社債がセットにされた預金。
スーパー定期預金固定1ヵ月超10年未満で満期日を設定する代表的な定期預金。各金融機関が市場金利の動向を基準にして金利を設定している。3年未満は単利型のみ、3年以上は単利型と半年複利型になっている。中途解約利率は預入期間によって異なり、6ヵ月未満までは普通預金の金利が、それ以上は約定金利によって決められる。
大口定期預金固定預入額が1,000万円以上の定期預金。金利は相対で決定。
期日指定定期預金固定措置期間1年。1ヵ月前に満期日を指定すればペナルティなしで解約が可能。
変動金利定期預金変動一般に6ヵ月ごとに金利が見直される定期預金。
預金の種類

ゆうちょ銀行の定額貯金は、預入れから6ヵ月が経過した後はいつでも払戻しができ、10年間の半年複利で利子を計算するしくみ。普通の金融機関の定期預金に相当するもの。また、ゆうちょ銀行の預入限度額は「通常貯金」と「定期性貯金」それぞれ1,300万円であり、合計2,600万円まで預入が可能となっている。

外貨建て金融商品

外貨預金

米ドル、豪ドル、ユーロなど外国の通貨で行う預金のこと。満期時の為替レートが預入時の為替レートに比べ円安になれば、円換算の投資利回りは向上する。

金融機関が示している外貨建てMMF等の利回りは、過去の実績を示すものであり、将来の投資成果を示唆または保証するものではない。(2013年1月学科)

具体例

為替先物予約を付さない外貨定期預金(預金時に満期時の為替レートが確定していないタイプの外貨預金)の場合の満期時の利回り。

・購入時の為替レート(1ドル100円)で外貨預金に1ドルを預入

満期時の為替レート(1ドル90円)円高⇒利回り90円(↓)
満期時の為替レート(1ドル110円)円安⇒利回り110円(↑)

為替レート
TTS (Telegraphic Transfer Selling rate)

円を外貨に換えるレートのこと。

TTB (Telegraphic Transfer Buying rate)

外貨を円に換えるレートのこと。

外貨建てMMF (Money Market Fund)

外貨建ての短期債券などで運用されるMMF。追加型公社債投資信託のため株式は組み入れない。毎日決算が行われ、毎月末に分配金がまとめて再投資される。売買手数料が不要いつでも手数料なしで解約可能。ただし、円を外貨に交換する際の為替手数料は負担する必要がある。

TTSとTTBの違いは正確に。「円」を中心として考えるなど工夫して覚えましょう。

金の取引

金の国際価格は米ドル表示が基準となっている。このため、日本円で金地金(金塊、インゴット)に換金する場合は、金利の低下や政治情勢不安による金の価格上昇や、ドルへの信認による価格下落などの金そのものの変動意外に外国為替相場の影響も考慮しなければならない。

金融商品の単利と複利の計算のしかた

単利

常に当初預けた元本を基準として利息が計算される。

元利合計額の計算式(単利)=元本×(1+利率×年数)

複利

常に利息を加えた新しい元本を基準として利息が計算される。

元利合計額の計算式(1年複利)=元本×(1+利率)年数

債券投資(重要度★★★★★)

債券の特徴

債券とは、設備投資や運転資金などの資金調達のため、に国(国債)や地方公共団体(地方債)、会社(社債)が発行する借金の証書のこと。

債権の分類

利払い方法による分類
利付債

毎年決まった時期に利息を受け取ることができる債券。

割引債

利息は支払われない代わりに額面金額から利息相当分を差し引いた金額で発行され、満期になれば額面金額を受け取ることができる債券。発行価格と額面金額の差が利益となる。ゼロクーポン債ともいう。

通貨による分類

・円建て債券:「払込み・利払い・償還」が円で行われる債券。
・外貨建て債券:「払込み・利払い・償還」が外貨で行われる債券。

債券のリスク

信用リスク

債券の発行体が元利金を払えなくなるなどのリスク。一般に信用リスクは格付を参考に判断される。一般的にダブルB格相当額以下の債券は「投機的債券」とされる。格付の高い債券はリスクが低く利回りが低くなる。

価格変動リスク

市場金利に応じて債券の価格が変動するリスク。固定金利の債券は金利が上昇すると価格が下落し、金利が低下すると価格が上昇する。

流動性リスク

当該銘柄の取引高が少ないことにより妥当な価格で取引できないリスク。

債券発行時

債券を発行する場合、表面利率、発行価格、償還期限が定められる。

表面利率

額面金額に対する1年間の利息の割合のこと。

発行価格

額面が100円の場合、発行価格が100円超の発行をオーバーパー発行、100円の発行をパー発行、100円未満の発行をアンダーパー発行という。

国債

個人向け国債

個人向け国債は、販売の対象を個人に限定して、一般的な国債よりも購入単位を低く設定し、一定期間経過後に国が買い取る中途換金制度を設けた国債。

変動10年、固定5年、固定3年の3種類。
・発行から1年(第2期利子支払い日)以降いつでも中途換金できる。
・募集価格額面100円につき100円、最低購入額面金額は1万円
・利率の下限は0.05%。(最低保証金利)
・適用金利は取扱金融機関によらず一定。

固定3年固定5年変動10年
償還期限3年5年10年
販売価格最低1万円以上とし1万円単位最低1万円以上とし1万円単位最低1万円以上とし1万円単位
金利基準金利※10.03%基準金利※20.05%基準金利※3×0.66
最低保証金利0.05%同左同左
利子半年に一度同左同左
発行月一回月一回月一回
中途換金発行後1年経過すればいつでも可能同左同左
中途換金調整額直前2回分の各利子から差し引かれる同左同左
個人向け国債の概要

※1:期間3年の固定利付国債の想定利回り
※2:期間5年の固定利付国債の想定利回り
※3:10年固定利付国債の平均落札価格を基に計算される複利利回り

債券の利回り

応募者利回り

新発債を満期償還まで保有した場合の利回り。
応募者利回り(%)={利息+(額面(100円)-発行価格)}/償還期間/発行価格×100

所有期間利回り

新発債または既発債を購入し、償還前に売却した場合の利回り。
所有期間利回り(%)={利息+(売却価格-発行価格)}/所有期間/買付価格×100

最終利回り

既発債を購入し、満期償還まで保有した場合の利回り。
最終利回り(%)={利息+(額面(100円)-買付価格)}/残存期間/買付価格×100

その他

円建て債券を外国の発行体が発行することも、外貨建ての債券を日本国内の発行体は発行することも可能。

国内の発行体
(国内債)
海外の発行体
(国外債)
円建て国内債券サムライ債
外貨建てカブキ債ショーグン債
発行体と通貨単位による債権の分類

また、日本が契約主体の場合、払込と利払いが円、償還が外貨である債券をデュアルカレンシー債、逆に、払込と利払いが外貨、償還が円である債券をリバースデュアルカレンシー債という。

株式投資(重要度★★★★★)

株式の特徴

株式とは、資金調達を目的として発行される「会社の所有権の一部」のこと。株式会社は投資家が出資した資金を利用して事業を行い、その利益を配当金などを通じて出資者である株主に還元する。

株式投資の投資指標

PER (Price Earnings Ratio):株価収益率

PER(倍)=株価/1株あたりの純利益

現在の株価を1株あたり純利益(EPS)で割った指標。
利益に対する株価の割安感がわかる。PERが低いほど割安。

PBR (Price Book value Ratio): 株価純資産倍率

PBR(倍)=株価/1株あたりの純資産

現在の株価を1株あたり純資産で割った指標。
純資産に対する株価の割安感がわかる。PBRが低いほど割安。1倍を切ると割安感があるといえる。

ROE (Return On Equity): 自己資本利益率

ROE(%)=純利益/自己資本×100

純利益(税引後利益)を自己資本で割った指標で、自己資本(借入金を含まない純粋な投資)でどれだけ利益を上げたのかがわかる。ROEが高いほど望ましい。

配当利回り

配当利回り(%)=1株あたりの配当金/株価×100

1株あたりの配当金を株価で割った指標で、投資額(株価)に対し、1年間で受けられる配当の割合がわかる。配当利回りが高いほど望ましい。

配当性向

配当性向(%)=配当金/純利益

配当金を純利益(税引後利益)で割った指標で、利益のうち内部留保せずに株主に還元した割合。

どれも重要な指標なので確実にマスターしよう。

株式投資の基礎知識

優先株式

普通株式に比べて配当金や余剰財産の分配を優先的に受けられる株式。普通株式に比べ一般市場では売買されないため流通性は劣る。また、普通株式には有する議決権がない。

売買のルール

指値注文と成行注文
指値注文

購入する際に希望する価格の上限を指定して行う注文。指値価格よりも不利な条件の売買は成立しない。

成行注文

売買価格を指定しないで注文する方法。そのときの最も低い売り(買い)注文と売買が成立する。

逆指値注文

指定した価格以上の買付、指定した価格以下の売付を条件とした注文方法。

価格優先の原則

・同一銘柄に対する複数の売りの指値注文がある場合、価格の低い注文が優先される。
・同一銘柄に対する複数の買いの指値注文がある場合、価格の高い注文が優先される。

時間優先の原則

同一銘柄に対する複数の同値の指値注文がある場合、注文時刻の早い注文が優先される。

成行注文優先の原則

指値注文よりも成行注文が優先される。

相場指標

指標内容特徴
日経平均株価
(日経225)
東証一部に上場している銘柄のうち、225銘柄を選択した修正平均株価。一部の値がさ株(株価の高い銘柄)の影響を受けやすい
東証株価指数(TOPIX)東証一部の全銘柄を対象として加重平均した指数時価総額の大きい株式の影響を受けやすい
JPX日経400流動性や利益に加えて、資本効率やガバナンスも考慮して採用銘柄を決定する指数日本企業の魅力を内外にアピールするとともに、株式市場の活性化を図ることを目的としている。
相場指標

株式累積投資と株式ミニ投資

・株式累積投資(ルイトウ):毎月一定金額の株式を継続して購入していくもの。ドル・コスト平均法一定金額ずつ購入する投資手法)の効果を得ることができる。

・株式ミニ投資:単元株の10分の1の単位で取引ができる制度。

株式の受渡し

株式の売買代金は、売買成立の当日を起算日として3営業日に決済を行う。

株式分割

株式分割とは、資本金を変えずに1株を一定の比率で細かく分割することをいう。
例えば、1株を2株に分割した場合、分割後の1株の価格は分割前の1株の価格の半分になる。つまり、分割前と分割後を比較すると、保有株式は増えるが資産価値は同じということになる。

値幅制限

前日の終値を基準にその株式の価格が1日に変動できる範囲(上限・下限)を制限するルールのこと。現在の日本の証券取引所では、適正な株価の形成と不測の損害からの投資家保護する目的で全ての上場銘柄に値幅制限が適用されている。この値幅制限の上限まで株価が上昇することをストップ高、下限まで下落することをストップ安といいます。

自社株買い

上場企業が自己資金を使って株式市場から自社の株式を買い戻すこと。1株当たりの価値(株価)は「企業価値/流通している株式数」によって決まるため、自社株買いにより流通株式総数が減少した分だけ、1株当たりの価値は増加する
また、株価上昇・1株当たりの純利益の増加・自己資本利益率の向上などの効果もあるため、自社株買いは株主への還元策としても有効となる。

投資信託(重要度★★★★☆)

投資信託とは、投資家から集めた資金を1つのファンドにまとめ、様々な株や債券などに分散投資する金融商品。

投資信託の運営を担う3つの機関

販売会社投資信託の募集・販売や収益金・償還金の支払い、目論見書、運用報告書の交付などを行う会社。(証券会社など)
投資信託委託会社(委託者)信託財産の運用の指図や、目論見書・運用報告書の作成を行う会社。
信託銀行(受託者)信託財産の保管・管理や委託者からの運用の指図に従って実際に運用する銀行。

投資信託の分類

株式投資信託と公社債投資信託

・株式投資信託:運用対象として株式に組み入れることが可能な投資信託。実際に組み入れるかどうかは不問。
・公社債投資信託:株式で運用することが一切できない投資信託。

単位型と追加型

・単位型投資信託:一定の期間しか購入できない投資信託。
・追加型投資信託:いつでも自由に時価で購入・換金ができる投資信託。

契約型と会社型

・契約型投資信託:投資信託委託会社と信託銀行とが信託契約を結んでいる投資信託。
・会社型投資信託:投資法人を設立し、投資家はこの投資主となるので、実態は株式に近い投資信託。

アクティブ運用とパッシブ運用

アクティブ運用

積極的に運用を行い、ベンチマーク(市場インデックス)を上回る運用成績を目指す手法。

トップダウン・アプローチ

経済全体の様々な環境要因を分析し、業績別組入比率を決め、それに組み入れる個別銘柄の選定を行う方法。

ボトムアップ・アプローチ

アナリスト等が得た個別企業の情報をもとに個別銘柄の選定を行う方法。

マーケット・ニュートラル

相関する2銘柄以上の買いと売りの組み合わせ、市場全体の変動に対して中立な立場を保ったまま収益の獲得を目指す方法。

パッシブ運用

ベンチマークに連動した運用を目指す手法。インデックス投資。

バリュー型とグロース型

・バリュー型:株価が過小評価されている企業に投資する手法。(PERやPBRが同業他社と比べて低いなど業績や利益水準からみて株価が割安な状態を選定して投資する。)
・グロース型:高い成長性が見込める企業に投資する手法。(市場平均に比べてPERが高く、配当利回りが低いポートフォリオになる傾向。)

ブル型とベア型

・ブル型(強気):対象指標が上昇しているときに、それに連動して利益を得ること目指すファンド。
・ベア型(弱気):対象指標が下落しているときに、それに逆連動して利益を得ること目指すファンド。

投資信託の基準価額

投資信託1万口当たりの価格のことで換金時には基準価額に基づいて換金することになる。求め方は、保有投資信託の純資産総額を受益権口数で除した額となる。

投資信託の評価方法

定量評価

過去の運用実績などのように数値で表せる量を分析することで数量的側面から対象を評価する方法。

定性評価

運用方針、運用哲学、成長性などのように数量的に表せない特性を検証分析することで質的側面から対象を評価する方法。

超過リターン

ある投資信託の騰落率がベンチマークとなる指標に対してどの程度上回ったか(もしくは下回ったか)を示すものです。例えば、ベンチマークとなる指標が20%下落したにも関わらず、その投資信託の騰落率が10%であった場合、その指標に比してプラス30%の成績で運用することができたということになる。

投資信託を購入・保有する場合の注意事項

投資信託の3つのコスト

①購入時手数料(最初)
②信託報酬(途中)
③信託財産留保額(最後)

購入時手数料は販売する金融機関ごとに異なるが、ゼロの商品(ノーロード型)もある。

信託財産留保額とは、投資信託を解約する際に投資家がファンドに支払う費用のことで受取金額から差し引かれるのが一般的。投資信託の種類によって差し引かれる金額は異なり、MRF(マネー・リザーブ・ファンド)やMMF(マネー・マネージメント・ファンド)のように信託財産留保額が差し引かれない投資信託もある。(MMFは30日以上の保有が条件。)

信託報酬(運用管理費用)の支払い

信託財産の中から「委託会社」と「受託会社」が信託報酬の中から受け取り、「委託会社」が受け取った信託報酬の中から「販売会社」に手数料として支払う。

信託報酬のは信託財産の中から年〇%と決められていることが多い。

情報公開資料(ディスクロージャー)

①目論見書:投資信託を募集・販売するときに必ず交付される資料。購入手数料、投資対象、運用方針、リスク、信託報酬などが記載されている。

②運用報告書:決算期ごとに発行されるもので、ファンドの運用成績が記載されている。

公社債投資信託と上場投資信託の主な商品

公社債投資信託の主な商品

MMF
(マネー・マネジメント・ファンド)
中期国債ファンドMRF
(マネー・リザーブ・ファンド)
運用対象短期金融商品など中期国債など安全性、収益性の高い公社債の短期金融商品など
購入単位1円以上1円単位同左同左
利払い毎月決算し、収益分配金は毎月最終営業日に再投資される。(1ヵ月複利)同左同左
特徴30日経過すればいつでも解約可能同左ペナルティなしでいつでも解約可能。株式には一切投資しない元本保証なし
公社債投資信託の主な商品

上場投資信託の主な商品

証券取引所に上場している投資信託。上場株式と同じように売買ができ、成行や指値による注文や信用取引も可能。税金に関しても上場株式と同じ。

ETF (Exchange Traded Funds):指数連動型上場投資信託

日経平均株価(日経225)やTOPIXといった一般的な株価指数に連動するように運用されているインデックスファンドの一種。海外の株価指数などに連動するものや、金や原油等の商品指数に連動するものもある。

J-REIT (Japan Real Estate Investment Trust:(不動産投資信託)

会社型の投資信託の一種で、主に不動産で運用するファンド。元々はアメリカでうまれたものを日本に適合させたもの。賃貸収入や売却益などを分配金として投資家に還元する投資信託。上場株式と同じように証券市場に上場され売買方法も同じのため、購入時手数料や換金時の信託財産留保額はかからない。J-REITは証券取引所に上場されているので、証券会社を通じて売買する。

ポートフォリオ運用と金融派生商品(重要度★★★☆☆)

ポートフォリオ運用の基礎知識

ポートフォリオ運用とは、値動きする資産に分散しておくことですべての資産が同時に下落するリスクを減らしつつ期待できるリターンは維持する手法。

分散投資(アセットアロケーション)

株式、債券、外貨建て資産、預貯金など、様々な種類の資産クラス(カテゴリー)に資産を分配するをアセットアロケーションという。

期待収益率と標準偏差

・期待収益率:一般的にリターンといわれる将来期待される利回り。
ポートフォリオの期待収益率=(各資産の構成比×各資産の収益率)の合計

・標準偏差:一般的にリスクといわれるリターンのバラつきの度合いの大きさのこと。

相関係数

複数の証券(投資対象)の値動きの関係を示す係数で、+1から-1までの範囲の数字をとる。

相関係数値動きの関係リスク軽減効果
+1証券の値動きが完全に一致する最小になる
0証券間の値動きに全く相関関係がない
-1証券の値動きが完全に反対の動きとなる最大になる
相関係数

相関関係が-1に近いから期待収益率が低くなるとは限らない。

金融派生商品(デリバティブ)

「オプション=将来の一時点において定価で売買する権利」をいう。

先物取引

特定の資産(原資産)について、「将来の一時点において定価で売買する約束」すること。資産の価格変動リスクを回避できるヘッジ取引には、値下がりリスクを回避する売りヘッジと値上がりリスクを回避する買いヘッジがある。

オプション取引

特定の商品について、あらかじめ定められた期日や期間内にあらかじめ定められた価格で購入または売買すること。

・コールオプション:特定の商品をあらかじめ定められた価格で買う権利。
・プットオプション:特定の商品をあらかじめ定められた価格で売る権利。

オプションの買い手は権利を行使するか放棄するかは自由。オプションの売り手は買い手の権利行使に応じる義務を放棄できない。

コール・オプション
(買う権利)
プット・オプション
(売る権利)
ボラティリティ(資産価格の変動の激しさ)が高いボラティリティ(資産価格の変動の激しさ)が高い
満期までの残存期間が長い満期までの残存期間が長い
原資産価格が高い原資産価格が低い
権利行使価格が低い権利行使価格が高い
オプションのプレミアムが高くなる(買い手に有利な)場合

スワップ取引

異なる形態の「お金を受け取る権利」を交換したり、異なる形態の「お金を支払う義務」を交換したりする取引。

・金利スワップ:同じ通貨の異なる金利の受取りや支払いのことで、金利部分のみの交換がされる。

・通貨スワップ:異なる通貨の元本や金利の受取りや支払いの交換のことで、元本と金利の両方が交換される。

金融商品の税金(重要度★★★☆☆)

各金融商品の税金

預貯金

受け取る際に20.315%(所得税・復興特別所得税:15.315%、住民税5%)の税金が差し引かれる源泉分離課税

債券

利子所得

20.315%(所得税・復興特別所得税:15.315%、住民税5%)が源泉徴収された上で、「申告不要」か「申告分離課税」を選択できる。

参考:第4章.タックスプランニング

償還差益・譲渡益

20.315%の申告分離課税。

外貨預金

利息

20.315%の源泉分離課税。(利子所得

為替差益

雑所得扱い。

株式

配当

上場株式等の配当は20.315%の源泉徴収。確定申告の要否は任意だが、課税関係は異なる。

譲渡益

20.315%の申告分離課税で、原則として株式等の譲渡益がある人は全て確定申告が必要。

特定口座
特定口座未開設(一般口座)確定申告が必要
特定口座開設(源泉徴収あり)確定申告が不要
特定口座開設(源泉徴収なし)年間取引報告書に沿って確定申告が必要
特定口座:申告や納税をサポートするための口座

投資信託

追加型投資信託

収益分配金は、普通分配金に対してのみ20.315%の源泉徴収。

普通分配金

分配金のうち、個別元本を上回った利益部分。配当所得として課税対象。

元本払戻金(特別分配金)

分配金のうち、個別元本の一部が払い戻された部分。これは利益ではないので非課税。

譲渡益

株式の譲渡益と同じ。20.315%の申告分離課税で、原則として株式等の譲渡益がある人は全て確定申告が必要。

公社債投資信託

収益分配金は20.315%の源泉徴収(利子所得)されたうえで、「申告不要」か「申告分離課税」を選択できる。

譲渡益

20.315%の申告分離課税(譲渡所得

NISA(少額投資非課税制度)

一般NISA

毎年120万円(ジュニアNISAは80万円)を上限とする上場株式、株式投資信託、ETF、J-REIT等の新規購入分を対象にその配当や売却益を非課税にする制度。国債や公社債投資信託は対象外。(NISAの設立背景が預金や国債等の安全資産に偏りがある日本国民の資産を株式等の資産に移転させることを促進するために創設されたから。)

・制度対象者は20歳以上
・非課税期間は最大5年間
・口座開設数は1年あたり1人につき1口座
確定申告不要

つみたてNISA

長期積立投資のための制度。公募株式投資(株式型かつバランス型)と上場株式投資(ETF)に限定。

・非課税投資枠は新規投資額で年間40万円が上限。
・非課税期間は最大20年間
・個人向け国債は投資の対象外。
・一般NISAと選択

注意点

証券会社で開設できる口座には、自分自身で売買を計算しなければならない「一般口座」、証券会社が取引の損益を計算して年間取引報告書を作成する「特定口座」、一定の受入額まで譲渡益や配当益が非課税となる「NISA口座」がある。

NISA口座に受け入れている上場株式や株式投資信託等を一般口座や特定口座に移すことは可能だがその逆は不可能。なお、NISA口座からNISA口座へのロールオーバーは可能。

NISAやつみたてNISAで売却損が発生した場合、NISA口座や一般口座・特定口座で生じた売却益などと相殺することはできない。また、翌年以降に売却損を繰越控除することもできない。

金融取引に関する法律(重要度★★★☆☆)

金融商品取引法

投資家保護のための法律。顧客の知識や経験、財産の状況、目的に合わない勧誘(不適切な勧誘)を行ってはならないとする「適合性の原則」も定められている。

金融商品販売法

金融商品の販売業者が顧客に対して、元本割れの可能性があるなどの顧客に説明すべき重要事項の説明をしなかったり、断定的判断の提供をしたことによりその顧客に損害が生じた場合、販売業者が損害賠償責任を負うことを定めた法律。

虚偽の説明

真実ではないことを言って購入を勧めること。

断定的判断の提供

「必ず上がります」、「絶対○○になります」など断定することや、そう思わせるような表現を使って購入を誘うこと。

不招請勧誘

頼んでもいないのに自宅や勤務先に押しかけてきたり電話をかけてきて取引を勧誘すること。(当面、外国為替証拠金(店頭取引)のみ。)

再勧誘

断ったにもかかわらず、しつこく勧誘すること。(当面は金融先物取引のみ。)

不招請勧誘や再勧誘に関しては相手が継続的取引関係にある顧客や投資家にあたるケースなどは適用除外としているが、虚偽の説明、断定的判断の提供は例外なくすべての顧客に対する販売行為に適用される。

消費者契約法

事業者の一定の行為により消費者が誤認、困惑した場合に、消費者が契約の申込み、承諾を取り消すことが出来る法律。

金融ADR (Alternative Dispute Resolution)

金融機関と利用者のトラブルを裁判外で紛争の解決を図る手続のこと。

金融庁が指定する指定紛争解決機関(金融ADR機関)が和解案を提示し解決に努める。指定紛争解決機関には全国銀行協会、生命保険協会、日本損害保険協会、証券・金融商品あっせん相談センターなどがある。

セーフティネット(重要度★★★☆☆)

預金保険制度

銀行等の金融機関が破綻した場合に預金者を保護するしくみ。

保護の対象範囲

普通預金、貯蓄預金、定期預金、当座預金など。外貨預金、譲渡性預金は保護の対象外。

保護の対象額

保護される金額は、元本1,000万円その利息が上限。
また、①無利息、②要求払い、③決済サービスの提供の3要件をすべて満たした場合の決済用預金は保護の対象となり、全額が保護される。

外貨預金、債券、投資信託、譲渡性預金については、日本国内に本店のある銀行の預金であっても預金保護制度の対象外となる。

その他の保護制度

保険契約者保護機構

保険会社が破綻した場合、責任準備金を一定割合まで補償して保険契約の維持を図り、保険契約者を保護する制度。

日本投資者保護基金

金融商品取引業者(証券会社)の経営が破綻し、投資家から預っている有価証券やお金などを返還できなくなった場合に、一般顧客1人あたり1,000万円を上限に補償する。

FX取引の証拠金、外国先物取引は対象外である。また銀行などの証券会社以外の金融機関は日本投資者保護基金の会員でないため、銀行で購入した投資信託についても対象外となる。

この章の復習

問題

米国の市場金利が上昇し、同時に日本の市場金利が低下することは、米ドルと円の為替相場においては一般に米ドル安、円高の要因となる。(2020年9月学科)

⇒×(金利上昇は通貨高、金利低下は通貨安の要因となる。)

問題

期間1年、年利0.1%の米ドル建て外貨定期預金に、預入時のTTSレートが1米ドル=100円のときに10,000米ドル分を預け入れた。1年後にTTBレートが1米ドル=110円であった場合、円ベースでの年利回りは(  )である。
(注)なお、利回りに端数が生じる場合には、表示単位(%)の小数点以下第3位を四捨五入することとし、税金は考慮しないこととする。

1)-10.11%
2)9.18%
3)10.11%  (2010年5月学科)

⇒3)年利回りは1年あたりのリターンを投資額(元本)で割って求める。「円ベースの年利回り」は、期間1年なので、「円ベースの増加額」を「円ベースの元本」で割ると求められる。
当初:10,000米ドル×100円=1,000,000円(「円ベースでの元本」)
1年後:10,000米ドル×(1+0.001)×110円=1,101,100円
円ベースの増加額は1,101,100-1,000,000=101,100円
よって、年利回りは101,100円/1,000,000×100%=10.11%

問題

期間2年の金利を年率2%(1年複利)と仮定すると、2年後に受け取る1万円の現在価値は(  )となる。なお、答は円未満を四捨五入している。

1)9,600円
2)9,612円
3)10,404円  (2017年9月学科)

⇒2)1万円の現在価値をⅹとすると、 
ⅹ円×(1+0.02)2=10,000円
ⅹ円×1.0404=10,000
ⅹ円=9,611.68…
ⅹ円=9,612円
※複利の効果が発揮されて2年後の10,000円になるのですから、すでに10,000以上の選択肢3)はすぐに除外しましょう。

問題

預金保険制度に対象金融機関に預け入れた決済用預金は、預金金額にかかわらずその全額が預金保険制度による保護の対象になる。

⇒〇(①無利息、②要求払い、③決済サービスの提供の3要件をすべて満たした場合の決済用預金全額が保護される。)

問題

一般に、日本の金利が一定のとき米国の金利が低下すると、米ドルを円に換える動きが強まり、円安ドル高が進行する要因となる。(2020年1月学科)

⇒×(米ドルを円に換える動きが強まると円の需要が高まるため、円高ドル安が進行する要因となる。

問題

ある債券に信用リスク(デフォルトリスク)が高まった場合、一般に、その債券の価格は下落し、利回りは上昇する。(2019年1月学科)

⇒〇(債券価格と債券利回りは反比例の関係にある。)

問題

追加型の国内公募株式投資信託の収益分配金のうち元本払戻金(特別分配金)は、配当所得として所得税の課税対象となる。(2017年9月学科)

⇒×(元本払戻金(特別分配金)は非課税。)

問題

オプション取引において、特定の商品を将来の一定期日にあらかじめ決められた価格で買う権利のことを( ① )・オプションといい、他の条件が同じであれば、一般に、満期までの残存期間が長いほど、プレミアム(オプション料)は( ② )なる。

1)①コール ②高く
2)①コール ②低く
3)①プット ②低く  (2021年9月学科)

⇒1)満期までの残存期間が長いということは、それだけ原資産の価格が変動する可能性も大きいということになる。オプションの買い手がその権利を行使するには、満期日に原資産の価格が権利行使価格に達していなければならないから、原資産の価格変動幅が大きいということはオプションの買い手にとって期待値が上がる要因となります。このため、オプションの買い手が売り手に支払うプレミアム(オプション料)は残存期間が長いほど高くなる。また、残存期間とプレミアムの関係はコール・オプション/プット・オプションで共通です。

参考

FP3級ドットコム:ホームページ
試験にでる内容だけ! 】スッキリわかる FP技能士3級 2021-2022年 (スッキリわかるシリーズ) 単行本:商品リンク

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