【働き方改革】働き方の革新・人を大切にする社会へ?(総論)

働き方改革

世の中では働き方改革、働き方改革という言葉が出回っている一方で、人を大切にしようという動きが起きているのも現状であります。

そもそも働き方改革という概念がふんわりとしていて、人によって認識や解釈が異なっているように感じます。ましてやニュース番組などを見ていても働き方改革についての報道を見かけることはほとんどない。

要はリモートワーク、テレワークのことでしょうとか、仕事はAI化していくのでしょうとかいう回答が飛んできそうですが、それは正解のようで不正解でもあります。

ここでは政府が掲げている働き方改革の本質と、これからの私たちの働き方について考えていきたいと思います。

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働き方改革が人を大切にする社会につながる?

SDGsという言葉を耳にしたことはある人は多いと思います。ここでは定義の詳細は割愛しますが、SDGsには17の目標が掲げられています。

その8番目に「働きがいも経済成長も」とあり、“みんなの生活を良くする安定した経済成長を進め、だれもが人間らしく生産的な仕事ができる社会を作ろう”(2025年までに、子どもの兵士をふくめた、働かなければならない子どもをなくそう)という目標があります。

働き方改革が人を大切にするという考え方はここからきています。

人を大切にすることが求められている背景

急激な人口の減少

日本だけでなく、全世界的に見ても少子高齢化が進んできていることは現実として受け止めなければなりません。世界の人口の約労働力人口が減少して人手が不足している中で、今ある労働資源をどのようにして有効活用するのか向き合う必要性があります。2021年現在、世界の人口は約78億5000万人であり、その3分の1を中国とインドが占めていますがこの2ヵ国においても人口は減少傾向にあります。
このように、人口の減少はわが国だけでなく世界的に起こるということはすでに予測されており、避けては通れない大きな社会問題となっているのです。

デジタル化の進展

近年の技術革新において、IT化、AI化、ロボット化の進展は着々と進んでいます。私たちの実生活でも身近に感じることも多くなっていると思います。
この技術革新は今後もさらに進展を遂げていく中で、このデジタル化の流れにうまく乗っていかなければなりません。そのために必要なことは何なのか労働分野からのアプローチが必要になってきます。

頻繁に発生している危機への対応

2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災、2020年の新型コロナウイルス感染症といった未曽有の危機が2000年代に入ってから度々起こっています。他にも地球温暖化や今後のポストコロナへ向けて、人はどのようにしてこういった危機を乗り越えられるのかが非常に重要となっています。

改革の開始から今までに発覚したこと

上記3つの背景から新たにわかったこともあります。簡単にみていきます。

社会的基盤としてデジタル化を進めていた企業とそうでない企業

業種に関わらず、元々社会的基盤(インフラ)としてデジタル化を進めてきた企業は、社会の危機の対して影響を受けなかった、危機にうまく対応できた、ダメージを受けても最小限で済んだ、速やかに回復することができているという点です。労働問題やマネジメント分野のトレンドで言うとレジリエンス(危機回復能力)が高いというべきでしょうか。

専門的知識を有する人とそうでないの人

もともとデジタル化に前向きで資金力のある大手企業や、すでに専門的な知識を持った人を抱えていた企業、テクノロジー系の分野において高い能力を有していた人などは、統計的に見ると業務の幅を増やしています。

簡単に言えば、大企業を中心に以前からテレワークや在宅勤務などの制度を活用していた企業は、直接消費者とつながり売上げを上げることに成功しています。

一方で、そうしたデジタル化に対してうまく対応できなかった企業、既存の経営スタイルを維持していた企業などは経営が困難になっているというのが現状です。

また、東京などでは顕著なのですが、通勤時間に1時間、2時間かけていた人が在宅勤務をすることによって、通勤にかかっていた時間を上手に活かすことができ、通勤時や職場での人間関係のストレスから解消されて働きやすくなったという結果も出ています。(心身の健康(ウェルビーイング)や仕事に対するやる気(ワークエンゲージメント)の向上が生産性を高め、好循環を生むとされています。)

このように、企業間においても労働者間においても、予測が困難な環境をに遭遇したことによって二極化が露呈しました。

今後に向けて重要なこと

デジタルは手段にすぎない

デジタル化の進展により、人は必要なくなって労働力人口が減ってもさほど影響はないのではないかと思いそうですがそれは大きな間違いです。

それはデジタル自体は少なくとも労働分野において何の価値も生み出さないからです。デジタル化したものをどの業務のどの範囲のどの分野で運用していくかを決めるのは結局は人間がすることになります。むしろそこにこそ人間の知恵やアイデアが顕著に現れるところでもあります。

デジタルを有効活用することは、どうしたら生産性が上がるか、顧客満足度は高くなるのか、仕事の在り方や製品の生産・管理などを決める手段にひとつにすぎません。

デジタル化社会に向けた人材の育成・教育

数年前、数十年前に得た知識が通用しなくなっているというくらい技術は日々進化しています。業務プロセスがデジタル化していく中で、既存の知識だけでなくデジタルに対応した人材を大切にしていく必要があります。
新しい知識を身に付けて新しい付加価値を提供できる人材がこの少子高齢化の中で非常に重要な存在になっていくでしょう。
またデジタルをうまく操ることができる人やデジタルでは実現できないことをできる人をどんどん増やしていくことが重要となります。
これを実現していくには企業単位にとどまらず、国・行政と専門的知識を有する団体(教育機関等)が一体となって支援していく必要があります。

まずはできるところから

これだけの危機が起き、一方で技術の革新によって取り巻く環境が著しく変化していく中で、企業としてのレジリエンスを向上していくためには、テクノロジーを活かした働き方を推進すること、またデジタルを駆使して仕事の在り方を見直したり、業務をより効率化することによって、働く人のウェルビーイングやワークエンゲージメントを高めていくことが大切です。

人口が減少している現在、優秀な人材を確保したいと思う企業は多く存在します。その人材を大切にするためには多様な働き方を提供していかなければなりません。(例えば、テレワーク、在宅勤務、短時間勤務など。)
一昔前のように、最初に働き始めた会社に数十年間身を粉にして働き続けますという時代はもう過ぎ去っています。
労働力人口の減少にという現実に対して魅力のある企業づくりをしていかなければその環境で少しでも長く働きたいと思う人は少なくなっていくでしょう。

これが冒頭に申し上げた人を大切にする社会へとつながっていきます。企業にとっても働く人にとっても満足感が得られ、生産性が上がっていき、結果として社会の成長につながっていくという好循環が生まれていくと思います。

一方、労働者側も時代の流れとともに変わっていく必要があると思っています。定年制の延長や廃止の傾向にはありますが、終身雇用制は崩壊していますし、先ほど述べたように一つの企業でずっと働く人は減少傾向にあります。そのような労働環境において、自分自身が社会や企業から必要とされる人材になっていくことが求められていくように思います。
今の企業で働きつつ別の企業で働いたり、副業をしてみたり、デジタル化が進む中である程度自助努力によって専門的なスキルを身に付けることが求められていくのかなと思います。

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