【助成金】業務改善助成金(通常コース)について

助成金
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業務改善助成金とは

①事業所内で最も低い賃金(時間額に換算)を所定額に引上げ、②生産性向上につながる設備投資をすると、その費用の一部(原則4分の3)を支給するという助成金です。

この助成金の主な目的は、最低賃金に近い額の賃金で働いている労働者がいる中小零細企業に対する呻吟の引き上げの支援策になります。(最低賃金に近い額の賃金は地域別最低賃金+30円以内に限ります。)

教務改善助成金は従来からある「通常コース」と、2022年1月より新型コロナウイルスの影響により売り上げ等が下落している事業主を対象とした「特例コース」があります。

特例コースは、新型コロナウイルスの影響により生産性が減少したことが必須の条件となります。また、2021(令和3)年7月16日から12月31日に30円以上引き上げた事業場が対象になります。(遡及して引き上げた場合も対象になります。)(申請の締め切りは2022(令和4)年7月29日まで)

通常コース

30円、45円、60円、90円コースいずれか選択をし、申請後に選択したコースの額以上事業場内最低賃金を引き上げることが必要になります。(申請の締め切りは2023(令和5)年1月31日まで)

対象となる事業主

①中小企業事業主であること(下記参照)
②労働者数100人以下の事業場であること
③事業場で最も賃金の低い労働者の賃金が地域別最低賃金+30円以内(1,071円以内)であること(雇い入れから3ヵ月以上経過している労働者に限る。)

なお、申請は企業単位ではなく事業場単位となります。例えば同じ事業主であっても、事業場が新宿である場合は東京労働局、横浜にある場合は神奈川労働局に別々に申請することになります。

原則として、設備投資等にかかった金額の4分の3が支給されることになっていますが、上限額があります。

中小企業の範囲

下記のAまたはBの要件を満たす企業が中小企業となります。

業種A(資本金または出資額)B(常時雇用する労働者)
小売業(飲食店を含む)5,000万円以下50人以下
サービス業(物品賃貸業、宿泊業、医療、福祉、複合サービス事業など)5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他業種(農業、林業、漁業、建設業、製造業、運輸業、金融業など)3億円以下300人以下
中小企業の範囲
助成金の上限
業務改善助成金のご案内

助成金の上限は、選択したコースと引き上げた労働者数によって決まります。

例えば、30円コースで1人引き上げた場合は30万円が上限となり、それ以上の設備投資を行っていたとしても認められません。

助成金支給までの流れ

助成金支給までの流れ

まず、交付申請書を所轄の労働局に提出します。提出期限は例年1月31日までとなっていますが、件数が少ないと3月31日まで延長されることがあります。

申請の受理後、約1ヵ月ほどで審査が完了します。審査がした場合、交付決定通知書が申請事業主に通知されます。

その後、交付決定内容に沿って賃金の引き上げや設備投資、教育訓練等を行い、これらの実績を所轄労働局に報告します。この実績報告ぼ審査が通過すれば支払請求を行い、助成金の支給決定がなされます。

注意点として、交付申請より前に賃金の引き上げや設備の導入等を行っていた場合は申請が出来ません。賃金の引き上げは交付申請書を提出し受理された後、設備の導入は審査が通過し交付決定通知を受けた後に行う必要があります。また、設備の投資は交付決定と同一年度内(3月31日まで)に終わらせる必要があります。

事業場内最低賃金と引き上げ要件

事業場内最低賃金

雇い入れ3カ月以上の常時使用する労働者のうち、1時間当たりの賃金が最も低い者の賃金が対象になります。

引上げ要件

例:事業場内最低賃金が1,050円、60円コースを選択した場合

1時間当たりの賃金が最も低い者を含めた全員を1,110円以上に引き上げる必要があります。

具体例 事業場内最低賃金が1,050円、60円コース

引き上げ後の事業場内最低賃金を1,110円にする必要があります。(1,050円+60円)

労働者従前の賃金(時給)改定後の賃金(時給)引上げ額
Aさん1,050円1,110円60円
Bさん1,070円1,110円40円
Cさん1,100円1,110円10円
Dさん1,200円1,200円0円
具体例①

この場合、事業内最低賃金は1,110円(Aさんが基準)になりますので、1,110円を下回っているBさんとCさんも引き上げの対象になります。Dさんは元々1,110円を上回っているので必ずしも引き上げる必要はありません。

そして、60円以上引き上げた労働者数は1人なので引き上げ労働者は1名となります。(上限額は60万円)

※引き上げ労働者数のカウントについて
①元々引き上げ後の事業場内最低賃金に満たない労働者でかつ②コース額以上引き上げた労働者が「引き上げ労働者」としてカウントされることになります。

上記の例で言えば、元々1,110円未満だった労働者(Bさん及びCさん)も60円以上引き上げないとカウントされないということです。

労働者従前の賃金(時給)改定後の賃金(時給)引上げ額
Aさん1,050円1,110円60円
Bさん1,070円1,130円60円
Cさん1,100円1,160円60円
Dさん1,200円1,200円0円
具体例②

Aさんに加え、Bさん及びCさんも60円引き上げた場合には引き上げ労働者数は3人となります。

対象となる設備投資等

対象となる設備投資には生産性の向上に資する設備投資、教育訓練等があげられます。例えば、設備投資の場合、手作業で行っていた業務を機械化する、機材を増設して作業効率を上げるなど、教育訓練の場合、業務効率化の研修やコンサルティングを実施するなどが考えられます。

建設業であれば、ユンボなどの建設機械あるいは丸鋸などの電動工具の増設、重機の運転資格者を増やすための講習費用なども対象になります。

また飲食店であれば、食洗器、POSレジの導入、接客マナーの研修を受けてスキルアップさせる事例が考えられます。

老朽化した機械や道具を入れ替える場合、従前の物よりもグレードアップしている者であれば対象になります。

一方対象にならないものとして、事務用のパソコンやタブレット、コピー機や複合機などのOA機器、事務所の家賃や光熱費、省エネ対策、広告宣伝費、通信費などは通常の事業活動経費とされ助成の対象外となります。また、法令で義務付けられている措置に対する費用も対象外となります。

一定の要件を満たせば対象となる設備投資等

パソコンやタブレットなどは一定の要件を満たせば助成の対象となる可能性があります。

一つ目は、POSレジに使うタブレットなど使用がそのシステムに限定されている場合など、もう一つは次の「特定事業者」に該当した場合になります。

特定事業者とは

新型コロナウイルス感染症の影響により、企業全体の「売上高または生産量等を示す指数の申請前3カ月間の平均値」(生産量等)が、前年または前々年同期と比べて30%以上減少している中小企業事業者をいいます。

特例事業者の場合、汎用性のあるパソコン、スマートフォン、タブレット(新規または増設のみで買換えは不可)、貨物自動車、11人乗り以上の自動車もこれらが生産性の向上に資する場合には対象になります。

また、特例事業者の場合、10人以上賃金を引き上げた場合でも、通常であれば上限額は「7人以上」の金額が適用されますが、「10人以上」の枠が適用されます。(上記業務改善助成金のご案内の上限額を参照)

※90円コースの場合、通常「450万円」が上限のところ、10人以上の「600万円」の上限が適用となるということです。

注意点として、特例事業者であれば一律に10人以上の上限額が適用されるわけではなく、特例事業者でかつ10人以上の賃金を引き上げた場合に10人以上の上限額が適用されることにご注意ください。

特例コース

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