NISAという制度はご存じの方も多いと思うのですが、ジュニアNISAは知らないよという方もいるのではないでしょうか。
ジュニアNISAは2023年で廃止されます。今の世の中で自分で積みたてて運用し、老後に生活に備えようという流れの中において廃止ということは何が理由があるのでしょう。
ただし廃止後も非課税運用は継続できます。どういうこと?となりますよね。
では今回はジュニアNISA制度が廃止になり、今後どのように変わるのか詳しく確認しておきましょう。
そもそもジュニアNISAとは何なのでしょうか?
ジュニアNISAとは?
ジュニアNISAとは、簡単に言うと、未成年の子どものために非課税で投資できる制度のことです。
主に子どものための教育費等資金や、子どもの資産形成のために国によってつくられた制度になります。
対象者
一般NISAと違い要件が異なります。
・日本国内に在住している0歳から19歳(成人年齢引き下げ後のため2023年からは17歳まで)
・非課税投資枠:年間80万円(最大で5年分のため合計400万円が限度)
・投資年度:2016年から2023年まで
・運用管理者:名義は子どもの名義で行われます。
活用例
仮に子どもが0歳の時に80万円分の株式ファンドを購入して、15年後に値上がりして3倍(240万円)になったとしても、運用益160万円(240万円-80万円)に対する税金はかかりません。もしジュニアNISAを利用しない場合、約30万円ほどの税金がかかってしまいます。
投資枠を最大限まで利用すれば、節税額の恩恵はさらに受けられることになります。
ジュニアNISAの廃止理由
これだけ聞くと、ジュニアNISAをやらない理由がないように思えます。それを裏付けるデータとして、日本証券業協会によると、「2021年末の証券会社のジュニアNISA口座数は549,142口座であり、2020年末と比較して、83.2%増加した。」とあります。
しかし、ジュニアNISAにはある制約がありました。それは18歳までの払い出し制限です。18歳になる前にどうしても払い出しが必要な場合は、ジュニアNISAの口座を廃止して途中解約をしなければなりません。そして、その際に発生した運用益すべてについて、過去に遡及してすべてに課税がされてしまうということで、せっかくの非課税のメリットが全く受けられなくなってしまうのです。
子どもが18歳になる前に教育資金が必要になる場合として、15歳で私立の高等学校に通いたいとなった場合などがあげられます。
また、子どもが18歳までに目標とする分まで利益が出たとしても利益確定ができないため、大学に進学するタイミングの18歳になる手前で大暴落の可能性もあるわけです。
ジュニアNISAの大きなデメリットは利益確定をすることができないということが欠点でした。
利用者数は増加しているものの、老後2,000万円問題が話題になっている中、自分の老後資金を確保することで精一杯、教育費の準備手段としては使い勝手が悪すぎるということで、一般NISAやつみたてNISAと比べて圧倒的に不人気な制度だったため、2023年に廃止が決定となりました。
法改正後のジュニアNISA
こうして廃止が決定となったのですが、法改正後は2023年までは毎年80万円投資可能、子どもが18歳になるまで非課税で運用可能(2024年以降新規の投資は不可)、2024年以降途中解約しても遡及課税されない、といった制度に生まれ変わります。
始めからそうすればよかったのに・・・
ジュニアNISAの制度自体は2023年12月に終了するため、投資してから5年間の非課税期間が終了したものは継続管理勘定という口座へ移管されます。この非課税期間終了時に非課税投資枠等に保有する金融商品を移管することをロールオーバーと言います。
「継続管理勘定」
20歳になるまで(1月1日現在で20歳である年の前年12月31日まで)非課税で運用できる勘定のこと。
「ロールオーバー(非課税期間終了時)」
非課税期間が終了した際には、NISA口座・ジュニアNISAで保有している金融商品を翌年の非課税投資枠に移行(移管)することができます。なお、ロールオーバー可能な金額に上限はなく、時価が非課税投資枠を超過している場合も、そのすべてを翌年の非課税投資枠に移すことができます。
子どもが成人したら、一般NISA口座を開設することができますので、継続管理勘定内の資金を一般NISA口座へ移管することができます。
つまり、子どもが成人するまではジュニアNISAや継続管理勘定にて非課税で運用でき、成人後は継続管理口座から一般NISA口座へロールオーバーすることになります。
2024年以降は払い出し制限がなくなりますので、資金が必要なタイミングで換金することも可能になります。
活用する際の注意点
ジュニアNISAは継続管理勘定では新規の買い付けができない、商品の入れ替えができないといったことから、すっと保有し続けていることを前提としているため、短期で換金する場合にはあまりお勧めできないかもしれません。
ただし、まだ子どもが生まれたばかりであったり、小学校入学前くらいの年齢である場合は活用する余地は十分あると思います。
もちろん、これとは別に現金で保有しておくこともリスク管理としては重要になってきます。
最後に
今回は廃止が決定したとたんに人気が出てくるという何とも不思議なジュニアNISA制度についてご説明しました。
たくさん働いて稼ぐことも大切ですが、払わなくていいものには極力払わないことが大切だと思っています。
お子さまがいるご家庭において、無理せず余力の範囲内でうまく活用していただけたらと思います。
参考
・日本証券業協会ホームページ:NISA及びジュニアNISA口座開設・利用状況調査結果について
・りそな銀行ホームページ:NISAのロールオーバーとは?メリット・デメリットや手続き方法について徹底解説
コメント