【労災保険法】労災保険特別加入制度の見直し(施行規則改正)

税金・社会保険・労働関係

こんにちは、kanariyaです。

本日は労災保険の施行規則の改正について触れていきたいと思います。

このブログで労災保険を扱うのは初めてかもしれません。

初めて扱う内容がとてもニッチな「特別加入」についてです。

そもそも労災保険の適用労働者って誰なの?って話ですが、これは労働基準法第9条の「労働者」と同じであるといわれています。

労働基準法第9条は「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用されるもので、賃金を支払われる者」という規定です。

つまり、常用、日雇、試みの使用期間中の者、アルバイト、パートタイム労働者などの雇用形態または所定労働時間数にかかわらず、労災保険法の適用事業に使用される労働者は。当該事業において労災保険法の適用を受けることになります。

では、特別加入はというと、上記「労働者」に含まれない者が労災保険に加入することをいいます。

ちなみに、労災保険では「被保険者」という言葉は出てきません。(保険料はすべて事業主負担のため「被災労働者」などと使います)。

労災保険特別加入対象者は大きく分けて以下の通りです。

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労災保険特別加入対象者(改正前)

①中小事業主及びその事業に従事する労働者以外の者(役員等)(役員報酬と賃金は性質が異なるため)
②労働者を使用しないで次の事業を行う一人親方その他自営業者及びその者が行う従事する労働者以外の者 

  • 個人タクシー業者、個人貨物運送業者等
  • 大工、左官、とび、石工等の建設業の一人親方
  • 医療品の配置販売業者
  • 廃品回収業、くず鉄業と呼ばれる事業を行う再生資源取扱者
  • 船員法第1条に規定する船員が行う事業に従事するもの  

③特定作業従事者

  • 特定農作業従事者
  • 指定農業機械作業従事者
  • 国、地方公共団体が実施する職業適応訓練又は事業主団体等委託訓練として行われる作業に従事する者
  • 危険有害な作業に従事する家内労働者等
  • 労働組合等常勤役員
  • 介護作業従事者及び家事支援従事者

④海外派遣者

この4つの分類に働き方の多様化を踏まえ、加入対象者の範囲の見直しが行われ、令和3年4月1日と同年9月1日に追加されました。

まず、令和3年4月1日に追加されたものとして、
②に、

  • 柔道整復師法第2条に規定する柔道整復師が行う事業
  • 高年齢者雇用安定法第10条の2第2項に規定する創業支援等措置の基づき、同項第1号に規定する委託契約その他契約に基づいて高年齢者が新たに開始する事業又は同項第2号に規定する社会貢献事業に係る委託契約その他契約に基づいて高年齢者が行う事業

③に

  • 放送番組(広告放送を含む)、映画、寄席、劇場等における音楽、演芸、その他の芸能の提供の作業又はその演出若しくは企画の作業に従事する者
  • アニメーションの作業に従事する者

令和3年9月1日に追加されたものとして、

②に、

  • 原動機付自転車又は自転車を使用して行う貨物の運送の事業(原動機付自転車については通達で特別加入の対象に含まれるとされていたものが明文化されました)

③に、

  • 情報処理システムの設計等の情報処理に係る作業に従事する者

です。

まとめると、

労災保険特別加入対象者(改正後)

①中小事業主及びその事業に従事する労働者以外の者(役員等) (役員報酬と賃金は性質が異なるため)
②労働者を使用しないで次の事業を行う一人親方その他自営業者及びその者が行う従事する労働者以外の者 

  • 個人タクシー業者、個人貨物運送業者等
  • 大工、左官、とび、石工等の建設業の一人親方
  • 医療品の配置販売業者
  • 廃品回収業、くず鉄業と呼ばれる事業を行う再生資源取扱者
  • 船員法第1条に規定する船員が行う事業に従事するもの
  • 柔道整復師法第2条に規定する柔道整復師が行う事業
  • 高年齢者雇用安定法第10条の2第2項に規定する創業支援等措置の基づき、同項第1号に規定する委託契約その他契約に基づいて高年齢者が新たに開始する事業又は同項第2号に規定する社会貢献事業に係る委託契約その他契約に基づいて高年齢者が行う事業
  • 原動機付自転車又は自転車を使用して行う貨物の運送の事業(原動機付自転車については通達で特別加入の対象に含まれるとされていたものが明文化されました)

③特定作業従事者

  • 特定農作業従事者
  • 指定農業機械作業従事者
  • 国、地方公共団体が実施する職業適応訓練又は事業主団体等委託訓練として行われる作業に従事する者
  • 危険有害な作業に従事する家内労働者等
  • 労働組合等常勤役員
  • 介護作業従事者及び家事支援従事者
  • 放送番組(広告放送を含む)、映画、寄席、劇場等における音楽、演芸、その他の芸能の提供の作業又はその演出若しくは企画の作業に従事する者
  • アニメーションの作業に従事する者
  • 情報処理システムの設計等の情報処理に係る作業に従事する者

④海外派遣者

となります。

イメージ的には、柔道整復師有資格者、65歳から70歳までの業務委託契約者・社会貢献事業者、キャラクターデザイナー、作画、演出家等、ウー〇ーイーツ、出〇館の配達の方、ITフリーランス(ITコンサルタント、webデザイナー)と覚えておけばいいと思います。

ちなみに、私はまだどれも遭遇したことがありません^^;

実務で取り扱った方がいらっしゃいましたらコメントにてお教えいただけると幸いです。

法改正項目については、実務でやってみないとわからないケースも多いと思いますので、このコメント欄でみなさまが情報を共有していただけるとより理解が深まると思います。

社労士試験受験生の方もいらっしゃいましたら上記法改正後のリストは暗記した方がいいと思います。(特別加入は範囲こそ狭いものの、やたら出題されているイメージで、合格率が2.6%だった2015年の選択の問題が特別加入だったと記憶しています。救済が入っていた気もしますが)。

それでは、本日もご覧いただきましてありがとうございました。

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