毎月の生活費だけでなく、住宅ローン、教育費、老後の生活など、将来に備えて今のうちから考えておかなければならないことはたくさんあります。ここでは今後のライフプランを実現するためのお金について学習する章になります。私たちの日常生活にとって身近な分野のため、比較的取り組みやすいといえます。
また、この分野は日商簿記、社会保険労務士、税理士などの資格試験対策にもつながる項目になります。特に公的年金は確実にマスターしましょう。
注意
※合格に必要なところだけをピックアップ。とにかく試験に合格したい方向け。(主に学科対策。)
※2021年10月1日時点の法令を根拠とする。
ファイナンシャル・プランニングと関連法規(重要度★★★★☆)
FP業務を行う際は、税理士法、金融商品取引法等のコンプライアンスを遵守することが求められている。
各法律等の注意事項
顧客利益の優先
顧客の立場に立った提案を行うこと。FP自身の利益を優先する行為はNG。
守秘義務
業務上知り得た顧客情報を外部に漏らしてはならない。ただし、顧客からの同意がある場合や法令の定めるところによって提供することは可能。
説明義務(アカウンタビリティ)
提案の意図や内容について顧客が理解できるように十分説明すること。
顧客の同意(インフォームド・コンセント)
FPが伝えた情報を顧客が理解したかどうかを確認した上で合意を得ること。
自己研鑽
プランニングに関連する専門知識の習得、及び技能・能力の向上に努めること。
その他
・一般的・抽象的な説明(将来必要保障額の試算等)はOK。(個別具体的な相談は各士業へ引継ぐ。)
・有償・無償の有無を問わず、税理士法(確定申告書の作成はアウト)、弁護士法(具体的な法律相談はアウト)、保険業法(保険募集人でないFPの保険商品の募集、勧誘はアウト)、金融商品取引法(投資顧問契約)、金融商品販売法(重要事項の説明義務)に抵触しないようにすること。
・投資顧問契約をする場合は金融商品取引業の登録必須。(内閣総理大臣の登録。)
ライフプランニングの手法・プロセス(重要度★★★★★)
キャッシュフロー表
キャッシュフロー表とは、現在の収支や今後のライフイベントを基に、家族の将来の年間の収支状況や貯蓄残高の推移(現金の流れ)を予想し、表形式にまとめたもの。
可処分所得の計算方法(サラリーマンの場合)
可処分所得=年収-(所得税・住民税+社会保険料)
民間の保険(生命保険料、火災保険料、住宅ローン返済額など)は含めない。
年間収支の計算方法
年間収支=年間収入の合計額-年間支出の合計額
貯蓄残高の計算方法
貯蓄残高=前年の貯蓄残高×(1-運用利率)+その年の年間収支
過去に計算問題の出題の可能性があります。
物価変動(上昇)率
n年後の数値=現在の数値×(1+年間物価上昇率)n
貸金業法の総量規制
個人が貸金業者による個人向け貸付けを利用する場合、原則として年収の3分の1を超える借入れは不可。
クレジットカードの紛失時のルール
クレジットカードには紛失・盗難保険が自動的に附帯されている。そのため、紛失や盗難に遭ってもカード会社等へ所定の届出等を行えば原則として届出日から遡って60日間までの不正利用についてはカード会社により補償される。(支払債務が免除される。)
将来のお金と現在のお金をつなぐ6つの係数
終価係数
現在の額を一定の利率で運用した場合の将来の額。
将来の額=現在の額×終価係数
現価係数
将来の必要金額を得るために一定の利率で運用する場合の現在の必要金額。
将来の必要金額=将来の必要金額×現価係数
年金終価係数
毎年の積立額から将来の積立合計額を求める。
将来の積立合計額=毎年の積立額×年金終価係数
減債基金係数
目標額を貯めるために必要な毎年の積立額を求める。
毎年の必要積立額=将来の目標金額×減債基金係数
年金現価係数
目標とする年金額を受け取るために必要な年金原資を求める。
必要な年金原資=毎年の受取年金額×年金現価係数
資本回収係数
保有資産額から毎年の年金として受け取れる額を求める。
毎年の受取年金額=保有資産額×資本回収係数
覚え方は積立と年金を取り崩す(受け取る)というキーワードに注目。
住宅ローン(重要度★★★★☆)
住宅ローンの金利
固定金利型(全期間固定)
フラット35
①全期間固定金利(ただし、融資率が90%超の場合だと高く設定される)
②買取型融資金額の上限は8,000万円
③総返済負担率は年収400万円未満で30%以下、年収400万円以上で35%
④適合証明書の取得が必須
⑤一部繰上げ返済を行う場合は100万円以上から可能で手数料は不要(住・My Noteでの返済は10万円以上から可能)
⑤返済期間は15年以上35年以内
⑥融資金利や融資手数料、申込時の提出書類等は取扱いの金融機関によって異なる
親子リレー返済
親子リレー返済とは、親と子で住宅ローンを組み親子二代に渡ってローンを返済できる住宅ローンのこと。借り入れをする住宅ローンは1本で、親が主債務者、子が連帯債務者になります。返済当初は親が返済していき、後々に子が返済を引き継いでいくのが基本的な流れが一般的。親が高齢でも住宅ローンを組みやすい。
変動金利型
市場金利の変動に伴い借入金利が変わるもの。銀行の住宅ローンでは、一般的には半年ごとに金利を見直し5年ごとに返済額を見直す。
固定金利選択型
返済当初の一定期間は固定金利、その後は固定金利または変動金利を選択できる。設定期間が長いほど適用金利は高くなる。
返済方法
元利均等返済
元金と利息を合計した返済額が毎回一定。
返済計画が立てやすいが、元金均等返済に比べて返済総額が多くなる。
元金均等返済
毎回の返済額のうち元金部分が一定。
元利均等返済より返済額は小さいが、借入当初の毎回の返済額は大きい。
繰上げ返済
通常の返済とは別に、元金の一部や全部を返済すること。利息部分ではない。
返済期間短縮型
毎月の返済額は変えず返済期間を短くする方法。返済額軽減型より支払利息を減少させる効果が高い。
返済額軽減型
返済期間は変えず毎月の返済額を少なくする方法。他の条件が同じなら総返済額は期間短縮型の方が少なくなる。
教育資金(重要度★★★☆☆)
日本政策金融公庫(国)(教育一般貸付)
原則1人350万円以内であるが、自宅外通学、修業年限5年以上の大学(昼間部)、大学院、修学年限3ヵ月以上の海外留学のいずれかの資金の場合は450万円まで可能。最長15年。固定金利。親の年収制限あり。
教育一般貸付は中学校卒業以上の者を対象にしている教育施設のため、義務教育機関は対象外となる。
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)(奨学金)
第一種奨学金は無利息、第二種奨学金は利息あり(在学中は無利息)。親の年収制限あり。どちらも貸与方式であり、返済義務はある。
要件を満たせば、日本政策金融公庫の教育一般貸付制度と日本学生支援機構の奨学金制度を重複して利用できる。
教育資金の贈与の非課税所得
前年の合計所得金額1,000万円以下の者が直系尊属から教育資金の贈与を受けた場合、受贈者1人あたり1,500万円の非課税枠を利用できる。学校等以外に支払う場合には非課税枠は500万円が限度である。贈与を受ける者は30歳未満に限る。
「第6章.相続・事業承継」でも触れる。
企業年金・個人年金(重要度★★★☆☆)
企業年金の種類
企業年金とは、企業が主体となって退職金などを年金として支給する制度。確定給付年金と確定拠出年金がある。
確定給付年金
受給できる額があらかじめ確定している企業年金。代表的なのは厚生年金基金、確定給付企業年金。企業が年金規約を作成して制度を運用する規約型と、企業年金基金という別法人を設立して制度を運用する基金型がある。
給付の種類は老齢給付金、脱退一時金、障害給付金、遺族給付金。
確定拠出年金
拠出する掛金額は確定しているが年金額を自ら運用する企業年金。企業型と個人型がある。
企業型確定拠出年金(企業型DC)
企業が掛金を毎月積み立て、従業員が自ら年金資産の運用を行う制度のこと。企業の掛金に従業員が掛金を上乗せすることができる「マッチング拠出」制度もある。
個人型確定拠出年金(iDeCo)
掛金を自分自身で運用しながら積み立てていく制度。原則60歳まで受給できない。毎月いくら積み立てるか、どんな金融商品で運用するか、どのように受け取るかをすべて自分自身で決めなくてはならない。
いずれも掛金の全額が小規模企業共済等掛金控除の対象。
給付の種類は、老齢給付金、障害給付金、死亡一時金。脱退一時金は過去の拠出年金が3年以下などの所定の要件を満たした場合には給付されるが、2017年1月1日以降は原則国民年金の保険料免除者に限られている。
月額換算 | 年間限度額 | |
国民年金第1号被保険者 | 68,000円 | 816,000円 |
国民年金第2号被保険者で 会社に企業年金がない者 | 23,000円 | 276,000円 |
国民年金第2号被保険者で 企業型確定拠出年金のみの加入者 | 20,000円 | 240,000円 |
国民年金第2号被保険者で 確定給付年金と 企業型確定拠出年金加入者 | 12,000円 | 144,000円 |
国民年金第2号被保険者で 確定給付年金のみの加入者 | 12,000円 | 144,000円 |
国民年金第2号被保険者で 公務員等 | 12,000円 | 144,000円 |
国民年金第3号被保険者 | 23,000円 | 276,000円 |
小規模企業共済等掛金控除の対象であり、社会保険料控除の対象ではない。また、税額控除ではなく所得控除の対象である。
その他
全国国民年金基金
個人事業主の公的年金(国民年金)に上乗せで加入できる制度。国民年金の付加保険料と併用不可。
掛金の上限額が68,000円。掛金の全額が社会保険料控除。
小規模企業共済
掛金の上限額が70,000円。掛金の全額が小規模企業共済等掛金控除。
中小企業退職金共済(中退共)
・掛金は全額事業主が負担。従業員の上乗せは不可。
・毎月の掛金は5,000円~30,000円の範囲(16種類)で事業主が選択。
・掛金の全額を損金として算入できる。
・新しく中退共に加入する事業主に対して加入後4か月後から1年間国による助成がある。
・従業員が退職したときは退職金は従業員に直接支払いされ、一時金で受け取ったときは退職所得として課税対象になる。
財形年金貯蓄
勤労者が会社の協力を得て給与から一定額を天引きし、60歳以降に年金として受け取るための資金づくりを目的とした積立貯蓄とのこと。財形住宅貯蓄と合わせて貯蓄残高が550万円(保険商品は払込額385万円)までは利子等は非課税となる。年金とはいえ雑所得として課税対象にもならないが、年金以外で払出しを行うと、利子所得や一時所得として課税となる。
主な要件は下記の通り。
- 契約締結時に55歳未満の勤労者であること
- 1人1契約に限ること
- 事業主を通じて勤労者の賃金から天引きで預入れすること
- 5年以上の期間にわたり、定期的に積立てを行うこと
- 年金支払開始までに据置期間を置く場合は、その期間が5年以内であること
- 年金給付は満60歳以降契約所定の時期から5年以上に20年以下にわたり定期的に受取ること
- この契約に基づく預貯金などは、年金の支払いなどの場合を除き払出しをしないこと
財形住宅貯蓄
財形年金貯蓄と合わせて貯蓄残高が550万円まで利子等に税金がかからない。満55歳未満の勤労者で他に住宅財形契約をしていなければ利用可能。公示後の住宅の床面積が50㎡超、工事費用総額が75万円超などの要件を満たせば増改築であっても払出しが可能。
公的医療保険(健康保険)(重要度★★★★☆)
「健康保険」(被用者保険)のしくみ
被保険者とその被保険者によって扶養されている者(被扶養者)の業務外の事由による疾病・負傷などについて保険給付を行う制度。保険者は全国健康保険協会(協会けんぽ)と組合管掌健康保険(組合健保)。
医療費負担
原則3割が自己負担となり、残りの7割が保険者となる。(小学校入学後から70歳未満の場合)
高額療養費
所得に応じて自己負担額が軽減される仕組み。
計算問題の出題の可能性あり。(医療費と自己負担額に注意)
傷病手当金
業務外の事由により療養のために連続する3日間を含む4日以上休業する場合、最長1年6ヵ月給付される制度。給付される額は1日あたり標準報酬月額の平均/30×3分の2。
出産育児一時金(家族出産育児一時金)
被保険者が自ら出産した場合に給付される制度。被扶養者が出産した場合は家族出産一時金として支給される。いずれも原則42万円。(産科医療補償制度の対象外となる出産の場合。)
任意継続被保険者(にんけい)
退職後加入していた保険制度に任意で継続して加入できる制度。被保険者期間が2ヵ月以上の者で、被保険者でなくなった日から20日以内に手続する必要がある。被保険者でいられる期間は最長2年間。保険料は全額自己負担。
任意継続被保険者ときたら「2」と覚える。
「国民健康保険」(地域保健)のしくみ
保険者は市町村と都道府県または国民健康保険組合。医療費の自己負担割合や給付内容はほぼ健康保険と同じだが、傷病手当金・出産手当金の制度はない。
後期高齢者医療制度
被保険者は原則75歳以上(もしくは65歳から75歳未満で一定の障害状態にある者)。医療費の自己負担割合は原則1割。(所得によって負担率が変わる)。保険料は年金から控除。
雇用保険・労災保険(重要度★★☆☆☆)
雇用保険のしくみ
保険料負担は事業主と被保険者双方負担。
雇用保険の給付の種類
求職者給付
求職活動中の失業者の生活の安定のための給付。基本手当(失業保険)など。
基本手当のポイント
基本手当の原則的な受給要件として、離職の日以前2年間に通算して12ヵ月以上の被保険者期間があることが必要。ただし、倒産・解雇等の場合は、離職の日以1年間に通算して6ヵ月以上の被保険者期間があること。
給付日数の上限は離職理由、年齢、被保険者期間によって異なるが、定年を離職の理由とする者に対する給付日数の上限は20年以上の場合で150日。
就職促進給付
失業者の再就職を援助。促進するための給付。
教育訓練給付
厚生労働省大臣が指定する教育機関にて講座を受講し、修了した場合にその費用の一部が支給される制度。被保険者(在職中)でも給付の対象になる。一般教育訓練給付と専門実践境域訓練があり、一般教育訓練給付の支給額の上限は、負担した金額の2割(上限は10万円)である。
雇用継続給付
被保険者が60歳到達時に賃金が75%未満に達した場合に支給される高年齢雇用継続給付(算定基礎期間が5年以上)、育児や介護のために休業する被保険者に対して支給する育児休業給付、介護休業給付がある。育児休業給付は休業時開始から180日目までは支給日数30日あたり「休業開始賃金日額×30日×67%(180日経過後は50%」)が支給される。
労災保険(労働者災害補償保険)
業務災害と通勤災害がある。保険料の負担は全額事業主。
雇用保険・労災保険はそこまで重要ではないため、深入りしないようにしましょう。
公的介護保険(重要度★★☆☆☆)
・保険者は市町村または特別区(東京23区)。
・第1号被保険者:65歳以上。(保険料は年金から控除。)
・第2号被保険者:40歳以上65歳未満の医療保険加入者。(保険料は健康保険料と併せて控除。)
・自己負担割合は原則1割。(所得によって変わる。)
公的年金(重要度★★★★★)
公的年金制度
国民年金は20歳以上60歳未満のすべての者が加入対象となる。サラリーマンはさらに厚生年金保険にも加入することになる。
被保険者の種類
第1号被保険者:第2号被保険者、第3号被保険者のいずれにも該当しない20歳以上60歳未満の者。(自営業者、学生等。)保険料は定額。
第2号被保険者:会社員、公務員等。保険料は労使折半。
第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者。保険料の負担はない。
公的年金の給付
主要な保険給付
老齢基礎年金
保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間の合計が10年以上必要。原則65歳から支給開始できる。
付加年金
第1号被保険者が月額400円の付加保険料を納付すると、加入月数×200円の上乗せが可能。
繰上げ受給と繰下げ受給
繰上げ受給(60歳から65歳まで) | 繰下げ受給(65歳から70歳まで) | |
減額・増額 | 0.5%×月数の減額 | 0.7%×月数の増額 |
最大増減 | 30%(0.5×60月)×月数の減額 | 42%(0.7×60月)×月数の減額 |
老齢厚生年金
老齢基礎年金を受給できる者が1か月以上加入すると老齢基礎年金に上乗せで支給される。
老齢厚生年金の報酬比例部分の計算
平成15年(2003年)3月以前は賞与を含めない平均標準報酬月額(被保険者であった期間の標準報酬月額の合計/被保険者であった期間の月数)が、同年4月以降は賞与を合算した平均標準報酬額(被保険者であった期間の標準報酬月額及び被保険者であった期間の標準賞与額の総額)/被保険者であった期間の月数)が計算の基礎となっている。
特別支給の老齢厚生年金
厚生年金保険に1年以上加入している者が65歳に達する前に受給できる年金。かつては60歳から支給できたものを65歳に変更したことによる既得権のようなもの。
男性が1961年(昭和36年)4月2日、女性は1966年(昭和41年)4月2日以降に生まれた者は、原則特別支給の老齢厚生年金は支給されない。
加給年金と振替加算
厚生年金の被保険者期間が20年以上で65歳未満の配偶者がいる場合には加給年金が付く。また配偶者自身が老齢基礎年金が受給できるようになると加給年金の代わりに振替加算が付く。
在職老齢年金
60歳以上も厚生年金の被保険者として働く場合、受け取る報酬によって受給できる年金が減額される制度。
障害基礎年金
障害等級1級の支給額は2級の1.25倍。それ以外は割愛。
障害厚生年金
割愛。
障害基礎年金、障害厚生年金はほとんど出ませんので他の給付を優先的に学習してください。
遺族基礎年金
受給対象者は「子(=18歳に達する日以後最初の3月31日)」または「子のある配偶者」。
遺族厚生年金
受給できるパターン4種
①厚生年金保険の被保険者の死亡
②被保険者の資格を喪失後、被保険者である期間に初診日がある傷病により初診日から5年以内に死亡
③障害厚生年金の1級または2級の受給権者の死亡
④老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間、免除期間及び合算対象期間の合計が25年以上である者に限る。)の死亡または受給資格期間が25年以上ある人の死亡
老齢基礎年金の10年以上とは異なり、遺族厚生年金のは法改正前の25年のままである。
受給権者
被保険者等の死亡の当時その者によって生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母。
兄弟姉妹は遺族厚生年金の受給権者にはならない。
受給額
被保険者の老齢厚生年金の報酬比例部分の額の4分の3相当額。
中高齢の寡婦加算
夫の死亡時、40歳以上で子のない妻、子がいる場合であってもその子が遺族基礎年金の加算の対象外となったときに40歳以上の妻は65歳まで加算される。
その他の給付
寡婦年金
第1号被保険者期間が10年以上の夫が死亡した場合、その夫によって生計を維持されてされていた妻が60歳以上65歳に達するまで受給可能。金額は夫が受け取れたであろう老齢基礎年金の額の4分の3相当額。
死亡一時金
第1号被保険者期間が36月以上の者が、基礎年金を受けずに死亡した場合、その者と生計を維持していた者に支給。金額は加入期間により12万円~32万円である。
寡婦年金と死亡一時金は選択受給となる。(併給は不可)
離婚時の年金分割
年金分割は、離婚等をした場合に厚生年金記録を当事者間で分割することができる制度です。合意分割と3号分割がありますが、どちらも離婚等をした日の翌日から2年以内に請求しなければなりません。
合意分割
婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間の合意又は裁判手続きで定めた按分割合で分割する
3号分割
2008年(平成20年)4月1日以後の婚姻期間中の3号被保険者期間における相手方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ、当事者間で分割する。
公的年金の制度はかなり複雑なため、過去問で出題された範囲を中心に学習しましょう。(深入り厳禁)
この章の復習
問題
1.税理士資格を有しないファイナンシャル・プランナーが、顧客のために反復継続して確定申告を作成しても、その行為が無償であれば税理士法に抵触しない。(2020年9月学科)
⇒×(確定申告書の作成は税理士の独占業務のため。)
問題
Aさん(40歳)が老後資金として2,000万円準備するために20年間毎年均等に積み立て、利率(年率)1%で複利運用する場合、毎年の積立金額はいくらか?
現価係数 | 減債基金係数 | 年金現価係数 |
0.8195 | 0.0454 | 18.0455 |
1)819,500円
2)908,000円
3)1,000,000円 (2020年1月学科)
⇒2)(20,000,000円×0.0454(減債基金係数)=908,000円)
問題
元金3,000万円を利率(年率)1%で複利運用しながら15年間にわたって毎年均等に取り崩して受け取る場合、毎年の受取金額はいくらか?
終価係数 | 減債基金係数 | 資本回収係数 |
1.1610 | 0.0621 | 0.0721 |
1)1,863,000円
2)2,163,000円
3)2,322,000円 (2019年9月学科)
⇒2)(30,000,000円×0.0721(資本回収係数)=2,163,000円)
問題
住宅ローンの返済方法において元利均等返済方式と元金均等返済方式を比較した場合、返済期間や金利などの他の条件が同一であれば通常利息を含めた総返済金額が大きいのは元金均等返済方式である。(2018年1月学科)
⇒×(返済額は元利均等返済方式の方が大きい。)
問題
独立行政法人日本学生支援機構が取り扱う第二種奨学金では、貸与が開始される時点から利息が発生する。(2016年9月学科)
⇒×(在学期間中は無利息。)
問題
確定拠出年金の個人型年金の掛金を支払った場合、その支払った金額は、( )として所得税における所得控除の対象となる。(2017年9月学科)
1)生命保険料控除
2)社会保険料控除
3)小規模企業共済等掛金控除
⇒3)(社会保険料控除と混同しないように。)
問題
国民年金の第1号被保険者によって生計を維持されている配偶者で20歳以上60歳未満の者は国民年金の第3号被保険者となる。(2018年9月学科)
⇒×(国民年金の第3号被保険者とは国民年金第2号被保険者によって生計を維持されている者を指す。)
問題
住宅ローンの一部繰上げ返済を行う際に「期間短縮型」を選択した場合、一般に繰上げ返済後の毎回返済額は増額となるが、残りの返済期間は短くなる。(2015年5月学科)
⇒×(期間短縮型の繰上返済は毎回の返済金額は変わらないが返済期間が短くなる。)
参考
FP3級ドットコム:ホームページ
試験にでる内容だけ! 】スッキリわかる FP技能士3級 2021-2022年 (スッキリわかるシリーズ) 単行本:商品リンク
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