【メンバーシップ型】わが国における働き方に対する考え方の変化①【ジョブ型】

ビジネス・マネジメント

ここ数年の間でよく聞く言葉として「ジョブ型雇用」というものがあります。雇用と言う名の通り、働き方についての用語だということはすぐにわかると思います。一方でジョブ型雇用とセットで語られるのが「メンバーシップ型雇用」です。
この二つの考え方は正反対の働き方の概念のため切っても切り離せない関係にあります。

そこで今回から、この「ジョブ型雇用」と「メンバーシップ型雇用」について詳しくみていきながらわが国における働き方が検討されている背景を説明していきます。

今回は前提として、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の基本をお話しします。なんとなく理解はしているけれど人に説明できる自信がないと感じる人は詳しく解説しますので最後までお付き合いください。

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「ジョブ型雇用」とは

ジョブ型雇用とは欧米諸国で普及しているスタイルで、企業内の仕事を職務で分けて、それを人に割り振るという考え方です。
職務内容(ジョブ)を先にを決めておいて、そこにその職務ができる人材を割り当てるというものです。

「ジョブ型雇用」のメリット

一番のメリットは、採用時にその職務にあった専門的なスキルを持つ人を募集できるということにあります。企業の採用にかかる時間やコストを短縮できるほか、応募側もこの企業に自分が必要な知識があるのか明確になり、雇用のミスマッチが発生しにくくなります。

また、現に働いている人としては、その専門的なスキルをさらに磨くことができ、その知識を活かした業務に従事することできます。どうしてもわが国にはその会社でしか通用しないようなスキルばかり身に付いてしまいがちですが、転職活動をする上で自分が取り組みたかったことが実現するチャンスが生まれます。その他、その仕事のゴールが明確になっていることが多かったり、異動や転勤等の配置転換が発生しにくく、安定してその職務に従事することが出来ます。

「ジョブ型雇用」のデメリット

もちろんジョブ型雇用にもデメリットがあります。一番は本来の職務ではない仕事をお願いできない(しづらい)ことです。あらかじめ、職務内容が「職務記述書(ジョブディスクリプション)」と言うものに示してあり、それに合った人を採用しているわけですから当然範囲外のことについては専門性を活かしにくいということです。
例えば、SEとして採用した人に年末調整が忙しいから経理を手伝ってとは言えないですよね。

また、仕事が属人化しやすいといったことも挙げられます。代替性のない職務をお願いしているわけですからその人がいないと会社が回らなくなるリスクもあります。(とはいえ、日本の中小企業は職務内容が明確でないことが多く、あの人に聞かないとわからないといった事象がよく散見されます。これはこれで問題です。)

その他では、その専門性の仕事がなくなるとその人自身の仕事もなくなる可能性があります。ただ、現在は専門性を活かす人はフリーランスで働くことも多く、その会社で働くこと以外にも選択肢を持っていることが多くなっています。企業側としても人事管理の段階で、そのポジションが将来的にも必要となってくるのか、それとも単発のものなのかによってそもそも採用をするのかどうかの選択肢が生まれます。例えば、事業展開をする上で欠かせないと思うのであれば採用活動をして優秀な人材を確保するのがいいでしょうし、そうでなければ業務委託という形で直接雇用をしない判断もできます。

「メンバーシップ型雇用」とは

一方でメンバーシップ雇用とは、まず一定数の人材を確保した上で、確保した社員に仕事を割り振るというスタイルです。あらかじめ各々が担う職務を決めずに長期的な雇用を前提として、ジョブローテーションを行いながら人材を育て人材活用していくという考え方です。

「メンバーシップ型雇用」のメリット

メンバーシップ型雇用のメリットとして、人事管理がしやすいという点があげられます。ある時期に一定の数の人材を雇用するわけですから、採用にかかる手間が減ります。また会社の都合で適切な部署に異動させることが出来るなど、人材の適正な配置が実現しやすくなります。

また働く側からすると、ジョブローテーションのような制度があればさまざまな経験を積むことができます。そして働く意欲があれば未経験でも採用される可能性があるということ、比較的年齢の近い人が同期になるケースが多く安心して入社することができる点もあります。

「メンバーシップ型雇用」のデメリット

メンバーシップ型のデメリットは、教育環境の整備がきちんと整っていることが前提となることです。多岐にわたる職務を一度に採用するわけですから、企業側としては採用した人材の適性を見抜き、育て、配置していかなければなりません。人事部の腕の見せ所でもありますが、大量の人材の管理は簡単なことではありません。

また、ゼネラリストタイプ(広範囲にわたる知識を持つ人)が増え、スペシャリストタイプの人材が育ちにくいといったことが懸念されます。なんでもできる人は重宝されますが、なんでも中途半端な人は企業側からすると配置に頭を悩ませることにもつながります。

働く側からすると、異動や転勤が発生する可能性があることからライフプランを立てにくい、希望の職種に就くことが難しいといったことがあげられます。

日本の大企業は「メンバーシップ型雇用」がメイン

ここまで見ていただいた方であれば日本の採用システムはメンバーシップ型雇用が多いことは容易に想像がついていると思います。

メンバーシップ型雇用はある程度規模の大きい会社が導入しているケースが多く、元々人材に余裕がある、採用にかけられる時間やコストもあるといった企業に適しているとも言えます。メンバーシップ雇用は「新卒一括採用」とほぼ同じ意味を持ちます。新卒一括採用は長期雇用を前提とした採用方法です。つまり、定年まで働き続けることが前提で採用活動を行う必要があります。

一方で現在のわが国の労働情勢はどうでしょうか。大手企業を中心として「早期退職制度」による募集を募っています。大手企業ほど人材の管理は難しいといいましたが、リーマンショックや新型コロナウイルスなどの未曽有の危機には迅速に対応できない企業も多く見受けられます。特に新卒一括採用を行っている企業は人材の流動化が鈍い傾向にあり、社会の情勢にリアルタイムで対応しにくいデメリットがあります。

体力のある企業でも新型コロナウイルスの影響を受け、業績不振に陥る状況にあります。
サントリーの社長の「45歳定年制」発言が物議を醸しましたが、ホンダやみずほ証券、オリオンビールといった名だたる企業も早期退職制度による募集をするとしています。

「メンバーシップ型雇用」と「ジョブ型雇用」どっちがいいのか

こういう議論ももちろんあります。しかし、どちらかが正しい、どちらかが間違いというのではなく、その企業にあった採用方針を検討する必要があるということです。

教育体制が十分でないのに、大手企業に倣って一括採用をしてもその人たちがうまく会社に貢献してくれるかわかりません。一方で、少ない人数しか採用せずに、その人たちがすぐに辞めてしまうことになれば今までの採用活動が水の泡となります。

そこで、従来の日本型雇用であるメンバーシップ型の雇用とジョブ型雇用を組み合わせた採用方法も注目を集めています。次回はそちらについてお話していきたいと思います。

それでは本日もご覧いただきましてありがとうございました。

参考:2年連続で上場80社超が早期退職募集、人数は20年ぶりの多さ(讀賣新聞オンライン)

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